“ユース教授”のサッカージャーナルBACK NUMBER
U-20W杯出場権は得たけれど……。
サウジに完敗、有望株に見た甘さ。
text by
安藤隆人Takahito Ando
photograph byRobertus Pudyanto/Getty Images
posted2018/11/03 08:00
失った2点は、いずれも完全に崩されての失点だった。日本は完敗したのだ。
完全に崩された上にオウンゴール。
前半は守備的な戦いを受け入れて、隙あらばカウンター。そして相手の運動量が落ちてくる後半に勝負をかける――。
割り切った戦い方を選択したはずの日本だったが、サウジアラビアの攻撃力は予想した以上に強烈だった。
29分、右サイドをムハンナド・アルシャンキティにドリブル突破を許すと、切り返されてからのバックパスを猛スピードで駆け上がって来たアランマルがワンタッチで抜け出す。すると角度のない位置から強烈なシュートを放ってきた。
GKの若原は意表を突かれる形となり、手に当てたものの……ゴールラインを割った。完全に右サイドを崩されての失点のダメージは非常に大きかった。
日本は反撃にも転じられないまま、残り3分のところで3バックから4バックに戻したが、一度狂った歯車は立て直せなかった。
久保投入、4バックに変更も……。
前半アディショナルタイム1分、再び右サイドから猛烈な勢いでアルベシェに突破を許すと、強烈なシュートを放たれる。これはGK若原がセーブするが、弾いたこぼれ球を橋岡がクリアしきれず、待ち構えたアルガンナムに押し込まれ、2失点目。
無失点で終わらせるプランが、前半終了時点にして0-2に……。この2点が後半も、日本に重くのしかかってくることとなった。
後半、日本は田川に代えてFW久保建英、三國に代えてFW宮代大聖を投入。石原と荻原の両ウィングバックをサイドバックに下げ、原と宮代のツートップ、右に久保、左に滝の両サイドハーフを置いた4-4-2に戻してスタートすることにした。
左サイドで久保がボールを運ぶことで、徐々にサウジアラビアの守備を後ろ向きにさせることはできたのだが、日本のDFラインのプッシュアップが足りず、いくら久保が攻め込んでも中盤のラインが間延びしていき……。