スペインサッカー、美学と不条理BACK NUMBER
レアルのロペテギはもう解任目前?
支配率70%で4戦連続ノーゴール。
text by
工藤拓Taku Kudo
photograph byGetty Images
posted2018/10/11 08:00
ゴールが奪えないロペテギ監督率いるレアル・マドリー。FIFA最優秀選手賞に輝いたモドリッチのゲームメークも生きてこない。
主力の負傷離脱にロナウドの穴。
とはいえ同情の余地はある。なにせわずか2週間のうちに5人もの主力選手が立て続けに離脱しているのだ。
まずセビージャ戦の直前にイスコが病気で1カ月の離脱を強いられた。続いてセビージャ戦ではマルセロがリタイヤ。アトレティコ戦ではギャレス・ベイルがハーフタイムに何らかの痛みを訴えて交代し、CSKA戦ではダニエル・カルバハルが肉離れを起こした。
そしてアラベス戦ではカリム・ベンゼマがハムストリングを痛めてハーフタイムで退き、ベイルも後半半ばに再び自ら交代を申し出ている。
イスコは遅攻で違いを作り出せる数少ない選手であり、両翼のマルセロとカルバハルも守備面以上に攻撃面で欠かせない存在だ。さらに前線の核となるべきベンゼマとベイルを失っては、いくらレアル・マドリーといえども攻撃力の低下は避けられない。
そもそもレアル・マドリーはこの夏、毎シーズン50ゴール前後を保証してきたクリスティアーノ・ロナウドを放出したにもかかわらず、ネイマールの獲得にご執心のフロレンティーノ・ペレス会長は新たな得点源の補強に動かなかった。1年前に放出したマリアーノ・ディアスを8月末になって買い戻したのも、獲得に動いたセビージャに保有権を奪われないためだったという印象が強い。
さらにはルカ・モドリッチが燃え尽き症候群で、ロナウドの穴埋めとして期待されているマルコ・アセンシオも元気がないのだから、チームの現状は然るべき結果だと言えるだろう。
もうコンテら後任候補の名が。
しかし、たとえどれだけ多くの外的要因があろうとも、責任を問われるのは常に監督である。
実際、過去にレアル・マドリーが4戦不発に陥った前例は2度あり、いずれも直後に監督が解任されている。また第8節終了時点での勝ち点14は、就任初年度のウィンターブレーク中に解任されたラファエル・ベニテスのシーズンより、4ポイントも少ない。
結果だけを見れば、すでに監督を代えるべき条件は揃っているのである。
今回も例に漏れず、早くも国内メディアには後任候補の名がちらつきはじめている。最有力は現在フリーで昨夏も候補に挙がったアントニオ・コンテ。また、レアル・マドリー・カスティージャ(Bチーム)を率いるサンティアゴ・ソラーリを暫定監督に据えるとの見方もある。マンチェスター・ユナイテッドで解任の危機にさらされているジョゼ・モウリーニョの復帰を望む声も根強い。