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レアルのロペテギはもう解任目前?
支配率70%で4戦連続ノーゴール。
posted2018/10/11 08:00
text by
工藤拓Taku Kudo
photograph by
Getty Images
スコアは0-0のまま、後半ロスタイムも4分半を過ぎていた。
左からのCK。ファーポストに抜け出したルベン・ソブリーノのヘッドがティボウ・クルトワの右手に当たって左へ流れる。左ポストのすぐ内側に飛び込んだのはマヌ・ガルシア。クリアを試みたセルヒオ・ラモスより一瞬早くボールを頭で押し込むと、アラベスの闘将は両手でシャツを引っ張りながらピッチを駆け出した。
10月6日に行われたアラベス対レアル・マドリー。“白い巨人”を相手に87年ぶりの大金星をもたらした劇的な決勝点に、メンディソローサのスタンドは文字通り狂喜乱舞した。
その傍ら、レアル・マドリーを率いるジュレン・ロペテギはベンチに座り込み、白いユニホームに身を包んだ選手たちは現実を受け入れられぬまま、試合終了を迎えることになった。
前半の3失点で勝負あったセビージャ戦の完敗。お互いの守護神を攻略しきれずに終わったアトレティコ・マドリーとのスコアレスドロー。そしてCSKAモスクワに0-1で敗れるチャンピオンズリーグの波乱に続くショッキングな敗戦により、レアル・マドリーは4戦未勝利のまま代表ウィークを迎えることになった。
支配率約70%、決定機はなし。
しかも1-0で制した第5節エスパニョール戦以降、4戦連続無得点。地元紙によれば、時間にして409分間にわたる不発は2005-06シーズンに並ぶクラブ史上ワースト2位の記録であり、1984-85シーズンに打ち立ててしまった最長記録の496分まで、あと87分に迫っているという。
「重要なのはチャンスを作り出していること。そうすればゴールは自ずとやってくる」
ロペテギはそう繰り返してきたが、実際には試合を重ねるごとにチャンスの数、シュートの本数も減りつつある。
この日も約70%のボール支配率を誇りながら、放ったシュートは13本。そのうち決定機と形容できるものは1つもなかった。開幕当初は好意的に受け止められていたポゼッションスタイルへの傾倒も、今では批判の対象となりはじめている。