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トルシエがベトナムの育成世代指導。
沸騰する東南アジアのサッカー熱。
posted2018/10/11 07:00
text by
田村修一Shuichi Tamura
photograph by
Shuichi Tamura
元サッカー日本代表監督のフィリップ・トルシエは今、ハノイにいる。
プライベートな組織ながら、ベトナムのナショナルトレーニングセンターともいえるPVFアカデミーでテクニカル・ディレクターに就任して、すでにふた月が過ぎていた。
世界最先端の設備と国際色豊かなスタッフ、行き届いたサポート体制……。トルシエはベトナムで、いったい何をしようとしているのか。またベトナムの野望はどこにあるのか、どれだけ本気なのか……。
トルシエに聞いた。
ベトナムの富豪が作ったサッカー施設。
――私たちは今、ハノイ郊外のPVFアカデミーという施設にいます。あなたは、なぜここで活動することになったのでしょうか?
「それは私がオファーを受けたプロジェクトが興味深かったからだ。大規模なプライベートアカデミーの技術部門の統括で、所有者はベトナム最大の富豪(ファム・ニャット・ブオン)だ。彼は様々な企業を傘下に収めた『ビン・グループ』の会長であり、サッカーにも大きな情熱を注いでいる」
「またベトナムという国も、ここ10年来目覚ましい進歩を遂げている。多くのアカデミーが設立され、幾つかはアーセナルやジャンマルク・ギウー(アフリカ最高峰の育成組織を運営する元フランス代表選手)など、海外のクラブや個人組織とも提携している。
さらにPVFアカデミーはベトナム協会とも緊密に連携している。“将来のナショナルトレーニングセンター”という位置づけで、ベトナム代表にとっての“クレールフォンテーン(フランス代表のナショナルトレーニングセンター)”のような感じだ。
彼らは私に様々なポストを創設する機会を与えてくれた。
技術や医療、フィジカルコンディショニング、ビデオ分析などの部門で、私は13人の一線級の専門家を広く海外から集めた。代表にも大きな貢献を成しうるスタッフたちだ。
私はこの大規模な組織のチーフであり、協会とも密な関係を保っている。来週はU-17代表を組織するし、10月にはスズキカップ(東南アジア選手権)のためにA代表がここに集まる。
協会に専門スタッフを提供しながらテクニカルプログラムの作成にも参加している私の立場は、ナショナルプロジェクトのアドバイザーと言える」