プレミアリーグの時間BACK NUMBER
忘れられた逸材司令塔バークリー。
サッリのチェルシーでついに開花。
posted2018/10/12 07:30
text by
山中忍Shinobu Yamanaka
photograph by
Uniphoto press
「ガッザ2世」から「忘れられた逸材」へ。
それが、17歳でエバートンのトップチームに昇格し、20歳でブラジルW杯代表入りを果たして以来の、ロス・バークリーである。
テクニックとフィジカルを併せ持つ国産攻撃タレントの宿命としてポール・ガスコインと比較され、イングランド国民から大きな期待を寄せられたMFは、潜在能力をフルに開花できないまま、24歳の控え選手として昨季を終えていた。
だが今季は、今年1月から籍を置くチェルシーで、プレミアリーグ開幕前哨戦に当たるコミュニティ・シールド(0-2)から継続的にアピールの機会を与えられている。
FAカップ王者の一員として、リーグ覇者マンチェスター・シティと対戦した8月5日からの約2カ月間で、すでに昨季の後半戦を上回る計11試合に出場。10月7日のプレミア第8節サウサンプトン戦(3-0)ではチェルシーでの初ゴールを決めて、2年半ぶりの代表復帰に自ら花を添えた。
バークリー復調はファン待望。
プレーメイカータイプが豊富ではないイングランドにおいて、バークリーの復調はファン待望と言える。5年前の代表デビュー当時には、やはりエバートンから輩出されたウェイン・ルーニー(現DCユナイテッド)と同じく、代表でもレギュラー街道を邁進するものと思われた。イングランドの中盤では、スティーブン・ジェラード(現レンジャーズ監督)とフランク・ランパード(現ダービー監督)の両大物が、キャリア終盤を迎えるタイミングでもあったのだ。
ところが実際には同じエバートン出身のジャック・ロドウェルと同じく、20代前半にして「元代表MF」の路線を歩みつつあった。
2度目の国際大会となったEURO2016でも、出番はなし。当時代表を率いていたロイ・ホジソン監督は慎重派で、バークリーのドリブル突破やキラーパス、華麗なミドルという特徴より、ロストボールとチャンスの無駄遣いという悪癖を嫌った。続いて代表を任されたリスク排除型のサム・アラダイスは、バークリーを代表に呼びもしなかった。