スペインサッカー、美学と不条理BACK NUMBER
レアルのロペテギはもう解任目前?
支配率70%で4戦連続ノーゴール。
text by
工藤拓Taku Kudo
photograph byGetty Images
posted2018/10/11 08:00
ゴールが奪えないロペテギ監督率いるレアル・マドリー。FIFA最優秀選手賞に輝いたモドリッチのゲームメークも生きてこない。
もしクラシコで負けてしまえば。
いずれにせよ、ロペテギの命運を分けるのは10月28日のエル・クラシコだと見られている。幸い、同じく取りこぼしを繰り返しているバルサとの勝ち点差は1で、敵地での直接対決に勝てば順位表で逆転できるだけでなく、ライバルをさらなる窮地に追い込むことができる。
逆にここで負ければ首位争いから後退するだけでなく、バルサに復調のきっかけを与えることにもなりかねない。クラシコまでにはカルバハルを除く負傷者も復帰できる見込みだが、一方で、負けた場合のエクスキューズもなくなる。
ロペテギは6月、選手として、指導者として過ごしたレアル・マドリーからの誘いを断れず、結果的にワールドカップ直前にスペイン代表監督の職を解かれて「非国民」のレッテルを貼られることになった。
解任騒動の翌日、サンティアゴ・ベルナベウで行われたプレゼンテーションでは「昨日は人生で最も悲しい一日だった。でも今日は人生で最も幸せな日だ」と言って涙を流した。
大きな犠牲を払って手にした憧れのポストをわずか数カ月で失うことになれば、多くの“アンチ”から笑い者にされるだけでなく、指導者としてのキャリアにも大きな傷をつけることになる。
落ち着くためにゴールが必要だ。
「悪い流れが続いているが、それでも(首位セビージャとは)勝ち点2差だ。まだ全タイトルに手が届く。今は第一に重要な選手たちを回復させ、心身のコンディションと落ち着きを取り戻さなければならない。そのために必要なのは、もちろんゴールだ」
アラベス戦後の会見でロペテギはそう言っていた。はたして追い詰められた指揮官は、この中断期間を経て悪い流れを断ち切ることができるだろうか。
中断明けの初戦は10月20日、ホームにレバンテを迎える一戦となる。