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吉田・長友・酒井招集の目的は何か。
森保監督の目は「前」を見ている。
text by
戸塚啓Kei Totsuka
photograph byNaoki Nishimura/AFLO SPORT
posted2018/10/07 17:00
コスタリカ戦では見事な船出を飾った森保一監督率いる新生・日本。10月の連戦はロシアW杯組との融合がテーマとなるだろう。
使いどころの多い久保だけに。
中島、堂安、南野は、いまだサバイバルの渦中にある。今回はケガで招集を見送られた香川真司が戦列に復帰すれば、2列目のポジション争いは激しさを増していく。周囲の期待値が高いうちに、彼らはポイントを重ねておかなければならない。
前線には大迫勇也が復帰した。小林悠、浅野拓磨の3人でバランスは取れているが、森保監督は久保裕也に興味を抱いていないのだろうか?
9月のコスタリカ戦で使った4-2-3-1でも、兼任するU-21日本代表で軸足にする3-6-1でも、久保は使いどころの多い選手だ。ウイングでも2トップでもプレーでき、器用貧乏の印象もない。アジアカップ前最後のテストマッチとなる11月には、招集しておきたい選手である。
あくまで中堅国の立ち位置である。
さて、ロシアW杯以前からヨーロッパで研鑽を積んできた中島、南野、堂安らに、ロシアで輝いた柴崎、原口元気、大迫らが加わってきた。DFラインには経験者が並ぶ。期待感は高まるが、思い違いをしてはいけない。
ロシアで16強入りしたからといって、日本は強豪国になったわけではない。最新のFIFAランキングではウルグアイが5位で、日本は54位である。我々は依然として、世界の中堅国なのだ。
若くて将来豊かな選手が代表に集まっているとしても、自分たちのやりたいことを押し通すサッカーが日本の方向性ではない。ポゼッションもカウンターもできて、プレッシングもブロックを敷いた守備もできるチームでなければならない。西野朗前監督が目ざした「何でもできるチーム」にならなければいけないのだ。
そうやって考えていくと、今回の人選に違う角度から光を当てたくなる。
攻撃の「高さ」を、用意しなくてもいいのだろうか。