サッカー日本代表PRESSBACK NUMBER
吉田・長友・酒井招集の目的は何か。
森保監督の目は「前」を見ている。
posted2018/10/07 17:00
text by
戸塚啓Kei Totsuka
photograph by
Naoki Nishimura/AFLO SPORT
カタールへの本格的なスタートラインに立った──10月4日に発表された日本代表メンバーは、そんな印象を抱かせるものだ。
森保一監督の初陣だった9月のテストマッチは、ロシアW杯の主力が招集されなかった。リオ五輪世代と国内組を中心とした編成、もっと言えばロシアW杯に絡めなかった選手が多い顔触れは、テスト的要素を含んでいた。
海外組を加えたチームに誰を加えればいいのかを、森保監督は見極めたと思うのだ。
10月12日にパナマと、同16日にウルグアイと対戦する今回のメンバーは、来年1月のアジアカップを意識したものだろう。
長友、吉田、酒井が守備を締める。
最終ラインに加わった長友佑都、吉田麻也、酒井宏樹のロシアW杯メンバーは、現時点でのパフォーマンス、経験、実績のいずれも若いチームメイトを上回る。吉田はサウサンプトンで出場機会が少ないものの、ゲーム勘や体力に問題がなければスタメンを任せられる選手だ。このタイミングで招集し、新たなチームに組み込んでおくことには意味がある。
攻撃で何らかのテストをする場合、守備の安定は前提条件となる。MFやFWが自陣に引っ張られてばかりでは、攻撃面での力量を見定められないからだ。試合運びを安定させ、テストを充実させるためにも、森保監督は長友ら3人を求めたに違いない。
最終ラインに計算できる選手が帰ってきた一方で、中盤は不確定要素をはらむ。そうは言っても、不安を煽られるわけではない。「どんな化学反応が起きるのか」との期待を抱かせる顔触れだ。
最大の見どころは、9月のコスタリカ戦でインパクトを残した中島翔哉、堂安律、南野拓実の2列目を、柴崎岳がどのように操るのか。ヘタフェで背番号10を背負う26歳は、ポゼッションサッカーでもタテに速いサッカーでも自らの特徴を生かし、周囲の個性を引き出すことができる。森保監督がチームのコンセプトにあげる「柔軟性」を表現できる選手だ。