太田雄貴のEnjoy FencingBACK NUMBER
フェンシング協会がビズリーチで
副業兼業限定の人材を募集する理由。
text by
Number編集部Sports Graphic Number
photograph bySports Graphic Number
posted2018/10/04 19:00
ビズリーチ・南社長とフェンシング協会・太田会長は、日本における新しい未来の働き方を提示している。
フェンシングだけの文脈ではなく。
太田 南さんとは、もう6年ぐらいのお付き合いでしょうか。仲間のつながりで自然とお会いするようになりましたが、企業の経営者の中では普通の感覚をしっかりお持ちの方で、何よりも自然体で愛に溢れている。本当にいつも勉強させてもらっています。
南 私はもともと学生時代からスポーツが大好きで、東北楽天ゴールデンイーグルスでも球団創業メンバーの1人として3年ほど仕事をしていましたし、その後もジュビロ磐田のアドバイザーを務めるなど、今に至るキャリアの中でもスポーツビジネスには意欲的に関わってきました。ですから、アスリートへのリスペクトがあり、太田さんのすごさも大変さもよくわかります。
今回の公募が形になったのは、太田さんがご自身で、日本フェンシング協会の会長に就任したあとに、何が問題であり何が課題なのかを明確にしていたから。さらにいえば、太田さんはその問題を、フェンシングだけの文脈で語りませんでした。
もっと広く、「自分たちの課題は、日本のスポーツ界全体の根っこにある問題だ」と捉え、「そこを変えていくことで、日本のスポーツの歴史を変えたい」という強い意欲を私に見せてくださった。その気持ち、姿勢に共感できたのが、このプロジェクトをスピード感を持って実現できた一番の推進力だったと思っています。
協会の中の人材だけでは限界が。
太田 会長に就任した2017年8月から、協会としていくつかの目標を立てて動いてきました。競技力向上は無論なのですが、ほかにも「協会登録者数を6000人程度から5万人に増やす」「2020年の東京五輪を成功させ、メダル獲得のみならず、日本社会にフェンシングを根付かせること」「財政基盤の安定」などを掲げて活動しています。
特に、収益事業を増やしていくことが大きな課題であり、全日本選手権のエンタメ化も含めてさまざま、いろいろな方の協力を得て実現させてきました。これからも、取り組みたいことはたくさんあります。でも、協会の中の人材だけでは限界があります。
もともと会長に就任した直後から、フェンシング界だけでなく、外からさまざまな知恵をお借りしてはいました。ヤフー株式会社の小澤隆生さん(常務執行役員、コマースカンパニー長)や、メディアアーティストの落合陽一さんなど、錚々たるメンバーでマーケティング委員会を立ち上げ、さまざまな議論を重ねてきています。
が、彼らも手弁当で集まってくださっていて、なかなかそれを具体化するところまで手が回らない。実現させるために、経験とスキルを有するプロフェッショナルがいれば……と考えていました。ただ……予算がありません。そういったスキルを持つ人材獲得のノウハウもありません。