ハマ街ダイアリーBACK NUMBER
1年前はテスト生、今や本塁打王争い。
DeNAの救世主ソトが覚醒した理由。
text by
石塚隆Takashi Ishizuka
photograph byKyodo News
posted2018/09/30 11:30
2カ月連続で二桁本塁打はセでは'02年松井秀喜以来。マルチ本塁打も球団記録の'16年筒香嘉智の9回まであと1回と迫る。
ラミレス監督とロペスの存在。
ソトの日本野球へアジャストするスピード感の源になっているのが、その練習量だという。入団からソトをかたわらで見てきた通訳の天野祥氏は次のように証言する。
「最初は日本の練習量の多さに驚いていたんですが、トレーニングが好きな彼にとってはそれがむしろ良かったみたいですね。たくさん練習することによって、試合への準備ができる。バッティングや内外野の守備、いろいろやっていますが、コーチに止められるまで練習していますからね」
振り返れば、右も左もわからない日本での生活がスタートした宜野湾での春季キャンプ、毎朝のように早出をし、黙々と特守を受けていたソトの姿がグランドにはあった。
天野氏によればコミュニケーション能力の高さや日本文化へのリスペクトも環境への適応に一役買っているという。
「真面目で人懐っこい性格なんです。来日したころはチャモ(ロペス)の後ろについて物静かだったんですが、慣れていくうちにチームメイトと打ち解けて、今ではふざけ合ったりしていますよ。また日本語を覚えようとする意識が高く、学習能力も優れている。オフにはひとりで電車に乗って東京に買い物に行ったり、生活面においても日本の文化を素直に受け入れていますね」
オンとオフの両面で日本野球や文化にアジャストするという意味では、同じラテンアメリカ出身で日本をあらゆる面で知り尽くした先駆者であるラミレス監督とロペスの存在は大きかったのだろう。
バッティングの秘訣を聞いてみた。
そして最大の持ち味である打撃だが、11年間におよぶマイナー生活で143本塁打と長打力があるのはシーズン前から理解はしていた。だが今季はマルチ本塁打が8回、8月と9月は2桁本数を放つなど、ホームラン王も視野に入ってきているというから驚きだ。シーズン中盤に20打席ほどヒットが止まり壁にぶち当たったものの、しっかりと修正し終盤にかけ調子を上げている。
ソトにバッティングの秘訣を訊くと、自信を漂わせながら答えてくれた。
「最近はボールが良く見えている。技術的には大まかなところは変えておらず、アメリカ時代にやってきたことを継続している。強いて言うならばタイミングを少し変えたかな」