プロ野球亭日乗BACK NUMBER
焦るな! そして皆で我慢しよう。
大谷翔平の投打の復帰時期を考える。
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph byMasterpress/Getty Images
posted2018/09/29 17:30
大谷の手術は全米でも最高の腕を持つ“スーパードクター”のニール・エラトロッシュ医師が担当する。
トミー・ジョン手術後の1年半のリハビリ。
一般論としてトミー・ジョン手術を受けた場合に投手としての復帰には1年半のリハビリ期間が必要とされている。ただ二刀流の大谷の場合は、打者として早期復帰が期待され新聞報道等では「早ければ来年開幕戦で指名打者としての復帰も可能」という報道が多く見られる。
しかし問題は、打者として復帰するだけなら、それも可能かもしれないが、あくまで目標は投手として「100%」になってマウンドに戻ることだ、ということだ。
打者としてのリハビリと投手としてのリハビリ、この2つが密接にリンクしていて、打者として早期復帰することが投手としての復帰に悪影響を及ぼす可能性を指摘する声があるのも事実なのだ。
トミー・ジョン手術はもはや最もポピュラーな治療法の1つで、手術そのものには失敗のリスクはほとんどないと考えてもいい。
ただ、現実的には手術をしても、マウンド復帰ができなかったり、術前のパフォーマンスを取り戻せないケースもある。
松坂、和田、ダルビッシュはどうだったか?
日本人で考えてもボストン・レッドソックス時代に手術を受けた中日・松坂大輔投手やボルチモア・オリオールズ時代に受けたソフトバンク・和田毅投手らは、パフォーマンスは術前より明らかに落ちてしまっている。またテキサス・レンジャーズ時代に手術したダルビッシュ有投手も、その後復帰は果たしたが、シカゴ・カブスに移籍した今季は再び故障に悩まされ、以前の輝きを失ってしまったように見える。
その一方でニューヨーク・ヤンキース田中将大投手は2014年に右肘の靭帯損傷が見つかりながらPRP療法での治療を選択して、復帰後は大きな故障もなくローテーションの一角を担ってきている。
もちろん田中の靭帯の損傷が小さくPRP療法を選択したということはあるだろうが、その一方で指摘されているのが治療後に田中が取り入れた日本流のリハビリのやり方だ。