“ユース教授”のサッカージャーナルBACK NUMBER
絶対プロになると中1で決断した男。
青森山田→札幌で夢実現の檀崎竜孔。
text by
安藤隆人Takahito Ando
photograph byTakahito Ando
posted2018/09/18 17:30
札幌でのレギュラーにとどまらず、A代表のメンバーに選ばれるように育てていきたい、とクラブ関係者もその素質を絶賛している檀崎竜孔。
2年生時の過ごし方に問題が。
「1年生で2冠を経験させてもらって、高2は『大事な就職活動の1年』と位置づけていた。にもかかわらず何もできなかった。プロ入りがなかなか決まらなかったのも、すべて2年時の自分の過ごし方が問題だったと思っています。身体作りもやっていたけど、本当に真剣にやっていたかと言うと……将来の見通しが甘かった、と」
確かに昨年は、前年と比較するとトーンダウンした印象が否めなかった。
彼の魅力はボールを受けてからの突破力。左サイドから切れ味の鋭いドリブルと正確なクロスでチャンスを量産する。
とにかく縦にガンガン仕掛ける姿勢は爽快感があり、スピードに乗った状態でも正確にボールコントロールでき、素早い体重移動でサイドを切り裂いていく姿は圧巻だった。ファーストタッチも上手く、一度乗ったら手がつけられない存在だった。
しかし、昨年は多くのチームが檀崎への対策をしっかり練ってきていたのだ。
あえてボールを持たせて、ファーストディフェンダーはむやみに飛び込まず、檀崎がかわそうとする瞬間を狙いすまして、カバーリングに入っていたもう1人のDFが阻止する。
それに対して、彼は少し工夫が足りなかったように思う。
コメントに頻出する「友太」。
自信がある縦への突破にこだわりすぎるあまり、仕掛けがワンパターンになり、相手に潰されてしまうシーンが少しずつ増えていった。
プレミアイーストでこそ得点ランキング10位の5得点を叩き出してはいたが、正直1年生のときのようなインパクトは残せなかったのではないか。
「正直、2年生のときは縦ばかり意識してしまって、プレーの泥臭さがなかった。たとえ突破しても、そのあとの中(の選手)との連係だったり、シュートまでの意識、精度は他の選手より劣っていたと思う。今のままでは(郷家)友太のように、大舞台で堂々とプレーすることは厳しいと思っています」
彼は事あるごとに「友太」という名前を口にしていた。
それは……今季ルーキーながらヴィッセル神戸で堂々とレギュラーを獲得している郷家友太のことだった。