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遠藤航「僕らリオ世代が中心に」
森保Jで念願のボランチ定着なるか。
text by
佐藤俊Shun Sato
photograph byAFLO
posted2018/09/13 11:30
長谷部誠の代表引退表明で、ボランチと主将候補の発掘は森保ジャパンのテーマとなる。遠藤航はその両方を満たせる存在だ。
「リオ世代が中心にならないと」
だが今はボランチに専念することで感覚を研ぎ澄まし、代表でもタイムロスすることなく、自分のすべきことに集中できた。慣らし期間が必要ない分だけプレーの選択肢が広がり、さらに中軸になるという自負も芽生えた。
「自分たちリオ世代が中心になって引っ張っていかないといけないと思っています。ただ、自分が代表で中盤の軸になるためには、守備だけではなく、攻守に関わる選手にならないといけない。総合力を高めるというか、自分の良さを出しながら何でもできるようにしていかないと、中盤の中心になれないと思っています」
日本代表のボランチの状況も理解している。絶対的な存在でキャプテンだった長谷部誠が代表を引退し、ボランチは1枠が空席になった。今回は山口蛍、大島僚太が故障で代表辞退しており、遠藤にとってはアピールする最大のチャンスだったのだ。
遠藤は、そのチャンスを活かした。
南野のゴールをアシストした動き。
彼のもともとの強みは人への当たりや読みの良さなど守備面にあった。ただ今回、目についたのは攻撃力だった。守備から攻撃への切り替えが非常に早く、前線の選手の特徴を踏まえて長短織り交ぜたパスを前に出し、自らも積極的に前に出ていった。
特にペナルティボックスの中に入ってボールを受け、南野の追加点をアシストしたプレーは、少なくともリオ五輪でボランチをやっていた頃には見られなかったものである。
「リオ五輪の時はいろいろ考え過ぎたというか、周囲の選手を活かさないといけないとか、自分のプレーに対して向き合えていなかった。今は失うものがないし、シンプルに自分の良さを出すことだけに集中しています。ベルギーで(ボランチを)やっていることも活きていると思います」
攻撃面で貢献できたのは、ボランチを組んだ青山敏弘が後方支援に回ってくれたおかげでもあるが、2人の相性も良かった。「お互いに今どこにいるか、常にカバーしあうことができていた」と遠藤が言うように、うまくハマっていた。
ただ、強い相手と戦った時、厳しいプレッシャーの中でもボールを受けに前へと飛び出せるのか、そして個人能力のある相手を潰すことができるのかなど、まだ未知数な部分はある。