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幼稚園児のようにボールを追う、
ライプツィヒとラングニック哲学。
text by
島崎英純Hidezumi Shimazaki
photograph byGetty Images
posted2018/09/07 08:00
2018-19シーズンは1分け1敗スタートのライプツィヒ。しかし今季もラングニック監督のもとで走るサッカーを極めるはずだ。
「サードボール」という新概念。
ライプツィヒのシステムはラングニックの十八番である4-2-2-2。バックラインは4枚。その前方にダブルボランチが、さらにその前にインサイドハーフ的なポジションで2人が並び、最前線に2トップが配されます。極端なまでの中央過多……。
いや、実は“中央過多”ではなく“特定エリア過多”なのですが、それは後述します。攻守でシステムが可変して、攻撃時は2バックでサイドバックとインサイドハーフが前へポジションを上げる2-2-2-4みたいな陣形にもなります。
ライプツィヒのサッカーを一言で表すならば、「超攻撃的リアクション」。彼らはボールポゼッションにこだわりません。シンプルなロングボールも躊躇なく蹴り込みます。ただ、そのボール到達地点への集合速度が恐ろしく速い。
彼らには「サードボール」という概念があります。ファーストコンタクトで相手にボールを保持されても諦めず、複数の選手がアプローチしてセカンドボールを回収。それが無理なら次の展開、つまりサードボールを拾うために強烈なプレスを掛けるのです。
そこから先は、先述した「10秒ルール」で相手ゴールへ。今季開幕ドルトムント戦では早くも彼らのプレスワークが炸裂。試合開始1分にFWジャン・ケビン・オギュスタンが先制点をゲットしています。
一見すると幼稚園児がボールを。
ライプツィヒは、局面を狭める動きも強烈です。相手ボールの際は基本的にワンサイドカット。しかし、ただのワンサイドカットではなく、逆サイドのサイドバックがセンターラインのセンターマーク(キックオフする中心位置)まで来ます。
一見すると幼稚園児が一斉にひとつのボールを追いかけている感じにも見えます。ライプツィヒはそんな動きをシステマティックに実践します。昨季のハーゼンヒュットル体制でも見られた動きですが、ラングニック体制では変態的に特化しているように見えます。
そのような(良い意味で)偏狭的なサッカーなので、結果を残すためには思考と体力を高いレベルで維持しなくてはいけません。結局、ドルトムント戦では時間の経過とともにプレスが利かなくなり、1-4の逆転負け。続くデュッセルドルフ相手のホームゲームも、先述の通りドローに終わっています。