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稀勢の里の完全復活は実現するか。
希望と絶望、相反する双方のデータ。
text by
西尾克洋Katsuhiro Nishio
photograph byKyodo News
posted2018/09/08 11:30
稽古の勝敗数すら報道されるほど、稀勢の里の注目度は段違いだ。文字通り進退がかかり、今場所は見逃せない。
稀勢の里が過去のデータを覆すことを願う。
加齢による衰えと闘い、結果を残しているのは上位だけではない。元関取の大岩戸は2017年5月場所で、史上最高齢(36歳0カ月)の幕下優勝力士に、そして山響部屋の天一は戦後最高齢の三段目優勝力士(35歳10カ月)になった。序二段の華吹は1970年生まれで、今年48歳。一ノ矢を抜いて昭和以降の最高齢力士である。
稀勢の里が今場所復活するかは、土俵に立ってみなければわからない。数字で見れば絶望的な状況かもしれない。しかし、近年土俵の上で実現した奇跡の数々を思えば、稀勢の里がそれに続いて復活を果たしても驚かない。
幕下下位まで転落した栃ノ心が大関昇進を果たし、背水の場所から鶴竜が連続優勝し、大卒の御嶽海が初優勝を遂げた。そう。2018年は、何が起きてもおかしくない時代なのだ。そのエピソードに稀勢の里が名を連ねる日が2週間後に訪れることを、私は心から願っている。