太田雄貴のEnjoy FencingBACK NUMBER
各競技団体に問題が噴出する中で、
フェンシングと太田雄貴が誓うこと。
text by
太田雄貴Yuki Ota
photograph bySports Graphic Number
posted2018/09/09 11:00
東京グローブ座での日本選手権のリハーサルの模様。本番に向けて、準備が着々と進んでいる。
男子フルーレは一番苦しい時期。
一方で、期待された男子フルーレ団体は準決勝で香港に敗退。松山恭助、西藤俊哉、敷根崇裕、鈴村健太の4人はそれぞれに個人戦でトップを狙えるほど強くなっていて、それぞれのやり方で頂点を目指していますが、チームとしては勝てるムードがなかった。ケミストリーが生まれず、それぞれの個性が「わがまま」に見えてしまっていました。今は正直、チームとしては一番苦しい時期なのだと思っています。
私が現役時代、それこそロンドン五輪のときなどは(銀メダル獲得)、良くも悪くも私が「イケイケ」な感じでリーダーとして突っ込んでいき、他の選手たちは「雄貴が行く方向に俺たちも行こう」という形で団結ができていたように思います。でも、この形にはやはり限界があって、アメリカやロシア、イタリアといった強豪国には勝ち切ることが難しかった。
だから彼らには、それぞれの個性がうまく作用するような形、別々の方向を向いているからこそのケミストリーを、なんとか見つけてもらいたいと思っています。
そうなったときには、おそろしく強くなるポテンシャルを持っているのですから。
東京グローブ座の大会での試み。
最後にもう1つ、この場を借りて、12月9日に開催されるフェンシング日本選手権、決勝のチケットが、発売開始から40時間で完売したことを、チケットを買ってくださった皆様へのお礼とともにご報告したいと思います。
去年は駒沢体育館での開催でしたが、今年は決勝戦を新宿・大久保の東京グローブ座で開催することになりました。
普段はジャニーズ事務所のタレントさんを中心に演劇の会場として使われている定員700人ほどのホールで、これまではスポーツ関連のイベントを開催したことはなかったのですが、今回は日頃からお世話になっている藤島ジュリー景子さんに快くご協力をいただき、1階席から3階席まで、まるでコロッセオのような劇的な空間で、男女3種目=6種目の決勝戦を行うことになります。
実は先日、会場でリハーサルを行いました。今回は演出として、フェンシング・ビジュアライズド・プロジェクト(競技映像をCG技術と組み合わせ、剣先の動きを光などで表現し、競技特性をより可視化するプロジェクト)の発展形として、決勝戦のリプレイ映像にもその場でビジュアライズドをしてしまおう、と思っています。
つまり、当日はまさに今、その場で繰り広げられた戦いが、瞬時にデジタルの力で「可視化」されることになるのです。そのテストのために、別途リハーサルの予算を組み、万全を期すこととなりました。