Number ExBACK NUMBER
スピードワゴン・小沢一敬が明かす
スポーツ漫画と我が芸人人生。
posted2018/09/13 16:30
text by
小沢一敬Kazuhiro Ozawa
photograph by
Sports Graphic Number
数千冊の蔵書を誇る小沢の“漫画愛”が色濃くにじむこの本の序文を、今回はNumber Webにて特別公開!
もし生きるのに辛くなったら……とりあえず、この本を読んでみろ!
小学生の頃、小沢一敬少年は漫画雑誌の“編集長”だった。
自分で漫画雑誌を買うお金はないから、友達に借りていた。「週刊少年ジャンプ」だったら『リングにかけろ』とか、「週刊少年チャンピオン」だったら『ドカベン』だとか。お気に入りの作品を選んで、1ページずつに薄い藁半紙を乗せて、絵と吹き出しのセリフを丁寧になぞっていた。
絵を描くことには、多少なりとも自信はあった。何しろ私、小学1、2年の頃に、愛知県知多市の「知多ライフ大賞・水彩画の部」で、金賞を受賞したくらいですから。
描き写した藁半紙を1枚1枚丁寧に重ねて、1冊にまとめたら「週刊少年オザ」の出来上がり。これを大事に保管して、毎日読んでいた。
「甘い言葉」の源流は『コブラ』!?
初めて自分でコミックを買ったのは、『キン肉マン』の第6巻だった。それまで読んだこともなかったし、なぜ惹かれたのかはわからないんだけど、本屋にたまたま『キン肉マン』の6巻と8巻だけが置いてあって、俺が6巻、弟が8巻を買って帰った。
今でも本屋に行くと漫画を“ジャケ買い”することが多いけど、そのルーツは『キン肉マン』の6巻だったのかもしれない。
当時から、小沢は漫画の登場人物の「言葉」を気にする子どもだった気がする。特に影響を受けたのは、『COBRA(コブラ)』という作品だった。主人公は左腕にサイコガンを持ち、常に葉巻をくわえる一匹狼の宇宙海賊コブラ。彼が宇宙空間で活躍するSFストーリーなんだけど、名言の宝庫のような作品で、コブラのセリフがとにかくお洒落だったんだ。
例えば、夜中に女の子から電話がかかってくる場面。普通の作品のダンディーな主人公ならば、「何か事件か?」と聞くところだけど、コブラの場合はこう言いながら電話に出る。
「どうした 背中のファスナーでもとまらないのか」