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ナイキの広告戦略に全米が驚愕。
反トランプの元NFL選手が前面に。
posted2018/09/08 09:00
text by
及川彩子Ayako Oikawa
photograph by
Getty Images
全米が驚愕した。
9月3日、スポーツメーカーのナイキは同社の展開する『Just Do It』の30周年記念キャンペーンに、NFLサンフランシスコ49ersの元クォーターバックだった、「あの」コリン・キャパニックを採用。キャパニックのモノクロの顔写真にメッセージをつけ、ネットを通じて配信、大都市のビルボードにもキャパニックが出現した。
Believe in something. Even if it means sacrificing everything.
(信念を持とう。たとえそれですべてが犠牲になるとしても)
ゲリラ的に打ち出した広告は、まさに全米の多くの人を驚かせた。
キャパニックは2年前、白人警察官による非武装の黒人の射殺や暴力事件が頻発していたことに対して抗議するため、NFLの試合前に行われる国歌演奏、国旗掲揚の際に膝をつく行為をとったが、トランプ大統領から「片膝をつくのは不敬。愛国心がない。あばずれの息子」と罵倒された、渦中の人だからだ。
ナイキは2011年にキャパニックと契約。キャパニックがサンフランシスコ49ersとの契約を解除し、所属チームがなくなり、アクティビストとして活動する現在まで契約は更新されていた。同社はキャパニックが行う慈善事業などのサポートも積極的に行っていた。
しかし、大統領や保守派から目をつけられている渦中の人物をブランドの顔として採用したのは「大胆」の一言に尽きる。
トランプはすぐに批判ツイート。
ナイキがキャパニックの広告を打ち出すと、多くの人が様々な反応を示した。
まずはトランプ大統領。自分の考え方に背く人すべてに噛みつく同氏は、当然のことながらすぐに反応。
「(キャパニックを採用したナイキの広告は)世に送るべきではない酷いメッセージ。皆が同意しないことを行っていいという自由がこの国にはあるが、私は彼らとは違う側にいる」と批判。また「不買運動と怒りでナイキ(の株価は)暴落している。こうなることが予想できなかったのか?」とツイートするなど、攻撃的な態度を見せている。