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ホークス得意の後半戦ブーストが!
逆転優勝はスアレス復帰で見えた。
text by
田尻耕太郎Kotaro Tajiri
photograph byKyodo News
posted2018/08/29 15:30
2年ぶりの勝利を挙げたソフトバンクのスアレス。頼れるリリーバーの復帰は工藤公康監督にとっても嬉しいはずだ。
「6回まで投げれば何とかなる」
今年のホークスが苦戦した最大要因は昨季54セーブの守護神サファテと、同72試合登板で46ホールドポイントの岩嵜翔が開幕して早々に戦線離脱したことだ。森唯斗や加治屋蓮が穴を埋める力投を続けているが、モイネロが疲労困ぱいになり一時二軍落ちするなどブルペン事情は常に土俵際という戦いを強いられていた。
工藤監督は言う。
「スアレスがしっかり投げてくれることによって、7回以降のリリーフ陣が安定してくる。先発は6回まで全力で投げれば何とかなると、余裕を持ってマウンドに立てる。打者も1点のリードの価値が大きくなるから、確実に点を取ろうという姿勢が明確になる」
長らく強さを誇るホークスは「勝利の方程式」がその時代、時代を支えてきた。藤井将雄・吉田修司・篠原貴行→ペドラザでつないだ王貞治監督の頃もそう。秋山政権でも攝津正→ファルケンボーグ→馬原孝浩の「SBMリレー」が屋台骨となった。
8月は抑えの森が安定した投球を続けているが、状況次第ではスアレスが代役を務めても十分に機能するはずだ。終盤戦に向けてチームの基盤となる部分が整ったのはかなりのプラス要素といえる。
また、8月中旬からの快進撃といえば、昨シーズンも同様だった。
昨年は終わってみれば独走優勝でリーグ最速を更新する9月16日に胴上げを決めたが、8月14日はまだ2位に甘んじていた。その翌日に首位に立ち、一気に独走したのだ。
フリー打撃を短縮化できる理由。
長丁場のシーズンにおいて地力の差が最も発揮される時期でもあるが、コンディショニングによる部分も大きい。疲労の蓄積を出来るだけ軽減するために試合前のフリー打撃の時間はシーズンが進むにつれて短くなっていく。
シーズン前半と現在では約20分も違うはずだ。移動試合の日などはさらに極端に短くなる。人一倍体調管理には気を配る工藤監督をはじめとした首脳陣の計らいだ。選手たちは「かなり助かる」と口をそろえている。
ただ、それが出来るのも、普段のホークスの選手たちが練習熱心だからだ。先日、三軍監督の関川浩一と話し込んだ際に偶々そんな話題になった。
「僕はよその球団も見ているから余計に分かります。例えば、ビジターの試合前練習でも、ホークスは時間いっぱいまでかなり多くの選手がグラウンドに残っています。ビジターの場合、練習から試合までの時間が短いから食事を摂ったりするために早めに引っ込みたくなる。
他の球団と見比べたら一目瞭然。ホークスは小久保(裕紀)や松中(信彦)、城島(健司)の時代からそういう伝統が受け継がれている。だから若い選手たちにもそういう話はしていますよ」