野球のぼせもんBACK NUMBER
ホークス得意の後半戦ブーストが!
逆転優勝はスアレス復帰で見えた。
text by
田尻耕太郎Kotaro Tajiri
photograph byKyodo News
posted2018/08/29 15:30
2年ぶりの勝利を挙げたソフトバンクのスアレス。頼れるリリーバーの復帰は工藤公康監督にとっても嬉しいはずだ。
投打ともに充実してきた中で。
牧原大成の成長も著しい。7年目の育成出身内野手は7月8日に今季初めて一軍昇格すると、即スタメン出場。もともと定評のあった打撃力で安定した活躍を続け、打率.338を残している。
サヨナラ満塁弾のグラシアルはまさに救世主だ。「天王山」の日本ハム戦でも大活躍した。静岡で行われた21日の初戦は先制打&来日1号。東京ドームに舞台を移した翌日の2戦目も、初回の先制3ランに加えて1点ビハインドの9回に逆転2ランを放って勝利の使者となった。
柳田悠岐や中村晃といった中軸打者が安定した働きを見せ、今宮健太に快音が戻ってきたことで打線のつながりが抜群に良くなった。
投手陣では育成出身左腕の大竹耕太郎が8月1日の西武戦(メットライフドーム)で白星デビューを飾った。育成ドラフト出身選手のプロ初登板初先発初勝利はプロ野球史上初の快挙だ。そして7月に加入した同じく左投げのミランダが来日初登板から2連勝。25日の西武戦(ヤフオクドーム)で9回無死までノーヒットノーランを続ける快投も見せた。
この2人が現れるまで今年のホークスの先発陣は右投げのみだった。相手打者の目先を変える意味でも、サウスポーが加わってきたことは大きい。
と、ここまで色々挙げてはみたが、じつは8月7日のロッテ戦(ZOZOマリン)が大きな分岐点ではなかろうか。
大きい東浜とスアレスの一軍復帰。
この日の先発は東浜巨だった。右肩関節機能不全で戦列を離れ、約2カ月半ぶりの一軍復帰マウンドで、試合開始1分後に中断するほどの雨や3回に打球が左足首に直撃するアクシデントと不運が重なったこともあり4回2失点での交代となったが、ピッチング内容は昨季最多勝の実力を十分に感じさせるものだった。先発の柱が戻ってきたことは大きい。
また、この日はリリーフ右腕のスアレスも一軍に登録された。
スアレスは'16年にソフトバンク入り。来日前はメキシカン・リーグで1年間プレーしたのみで、それまでは建設現場で働きながら草野球に興じていたという変わり種だったが、入団1年目からセットアッパーとして大活躍した。
58試合に登板して28ホールドポイント。ホークス球団史上最速の161キロをマークして話題も呼び、'17年はWBCに母国ベネズエラ代表として出場した。だが、大会中に右肘を故障。昨年4月に「トミー・ジョン手術」を受けて長いリハビリを続けていた。
この怪腕の一軍復帰こそが、ホークス浮上のカギとなったと考えている。