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ホークス得意の後半戦ブーストが!
逆転優勝はスアレス復帰で見えた。

posted2018/08/29 15:30

 
ホークス得意の後半戦ブーストが!逆転優勝はスアレス復帰で見えた。<Number Web> photograph by Kyodo News

2年ぶりの勝利を挙げたソフトバンクのスアレス。頼れるリリーバーの復帰は工藤公康監督にとっても嬉しいはずだ。

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田尻耕太郎

田尻耕太郎Kotaro Tajiri

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Kyodo News

 奇跡の逆転Vへ夢が膨らむどころか、これはもう現実味を帯び始めたと言ってもいい。

 8月26日、ホークスは首位西武3連戦でスイープを決め、今季最長連勝を9に伸ばした。あまりにも劇的すぎる決着だった。8対8の打撃戦で迎えた延長12回裏、3番打者のグラシアルがサヨナラ満塁ホームランを右翼席に打ちこんだのだ。

「打った瞬間の軌道を見て、結構飛んだと思ったよ」

 キューバの主砲はガッツポーズで打席から走り出した。ベンチは当然お祭り騒ぎだ。なぜか甲斐拓也は森唯斗におんぶをされてグラウンドに飛び出してきた。今季16度目の38,530人の超満員を記録したスタンドもとんでもない雰囲気だ。

 ホークスがサヨナラグランドスラムで勝ったのはダイエー時代の'99年9月8日、同じく西武戦で井口忠仁(現ロッテ監督、現在の登録名は資仁)が放って以来19年ぶりだ。

真夏の天王山でハム、西武に全勝。

 先週の6連戦は「真夏の天王山」。上位2チームとの直接対決だった。まず21日からの日本ハム戦に3連勝して2位に浮上。そして続く西武戦3連勝によって、8月11日時点では「11.5」もあったゲーム差をわずか半月で「5」まで縮めたのだ。

 その上、こんなミラクルな決着を見せられれば、この先のペナントレースでもっと大きな奇跡が起きたとしても不思議でないと思ってしまう。

 ユニフォームを着て戦う工藤公康監督をはじめとしたホークスナインはもちろん「優勝を諦めない」と公言し続けていたが、8月上旬までのチームはジリ貧状態でその現実感はまるでなかった。振り返れば、6月26日に沖縄・那覇で日本ハムに敗れて歯車が狂った。そこから8月5日までの約1カ月半の連勝は2連勝が一度のみという異常事態だった。

 どん底から這い上がったホークス。その殊勲のヒーローを挙げれば、1人や2人では済まない。

 松田宣浩は7月終了時点で打率.228だったのが、2割6分台へと急回復した。8月は月間打率.386、8本塁打、20打点(※成績は28日時点)で月間MVPの有力候補となっている。

「バットの軌道が素直に出るようになった。色々変えてやってきたし、今も試行錯誤。その中身? 今は言えない。シーズンが終わってから」

【次ページ】 投打ともに充実してきた中で。

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