話が終わったらボールを蹴ろうBACK NUMBER
アルビがハマリこんだ深い泥沼。
J3が現実味、何かを変える必要が。
text by
佐藤俊Shun Sato
photograph byJ.LEAGUE
posted2018/08/21 10:30
Jリーグの地元密着クラブの優等生だったアルビレックス新潟が苦境に喘いでいる。トンネルの出口は見えているだろうか。
準備したものを封じられた後の対応。
後半、途中出場した田中達也が裏を取ろうという動きを見せていたが、そういう動きがスタメンのFWには見られなかったのだ。チームは攻撃のパターンを失い、この日、目立った攻撃と言えばロングスローとセットプレーのみ。コーナーキックは9本あったが、決定的なチャンスを作れなかった。
「トレーニングしてきたことはできたけど、勝ちにつなげられなかった」
試合後に片渕ヘッドコーチはそう話したが、見方を変えれば、やってきたことを封じられると何もできなかった、ということではないか。若い選手はやろうとしたことができないと次どうすべきか、見えていないようだった。
今回の5連敗を含めて、新潟が直面している事態は相当に深刻だ。鈴木監督は大分に4-0で負けて解任された。だが、「結果は出なかったが、内容は悪くなかった」と、主力選手たちは鈴木監督のサッカーに良くなる手応えを感じていた。それだけに、「政さんの解任は選手の責任でもある」と選手らは責任を感じていたという。
監督が要求したことをピッチ上で具現化できなかった部分はあるにしても、現在の成績に至っているすべての責任が選手にあるかというと、そうは思えない。
3年連続のシーズン途中の監督解任。
新潟は監督のシーズン途中解任は、これで3年連続になる。
これは、クラブの掲げるヴィジョンに向けて、どういう監督が必要なのかを見極めることができていないからに他ならない。必要な監督、そのサッカーに必要な選手をそろえることができないフロントの責任は極めて大きい。
チームを立て直すには、まず一刻も早く新監督を決めることだろう。戦い方が定まらない状況では何も進まない。今のままでは泥沼に陥るばかりだ。
選手は、意識を変えることが求められる。
もう残留争いが現実なのだ。本気でJ2に残留する気で戦わないと生き残れない。何とかなるだろうと思って戦ったチームが生き残れた例はない。「絶対に生き残る」という強い気持ちが熱量となり、それが試合を戦うパワーとなる。その最初の1歩として、もっと気持ちを出して戦うべきではないか。