話が終わったらボールを蹴ろうBACK NUMBER
アルビがハマリこんだ深い泥沼。
J3が現実味、何かを変える必要が。
posted2018/08/21 10:30
text by
佐藤俊Shun Sato
photograph by
J.LEAGUE
アルビレックス新潟が大宮アルディージャに2-1で敗れ、泥沼の5連敗を喫した。
満員となったNACK5スタジアムのゴール裏のサポーター席からは、暖かい拍手とともにブーイングが漏れてくる。その嘆きは、大宮戦を見る限りはまったく同意できるものだった。連敗を何がなんでも止めるぞという気迫が、ピッチ上の選手からあまり感じられなかったからだ。
順位は19位に落ち、J3降格圏の21位の京都との勝ち点差はわずか4点。気が付けばJ3がうっすらと背後に見えつつある。かつては毎年、主力を引き抜かれても落ちないことで有名だった新潟だがJ2に降格以降、どこまで落ちていくのか――。
大宮戦は、栃木戦からメンバーを替えてきた。
片渕浩一郎ヘッドコーチは8月7日、鈴木政一監督が解任された後、暫定的に指揮を執りこの大宮戦が2試合目。前節の栃木戦で3-0で負けた試合を受けて今回、自分のカラーを出すべくスタメンをイジってきたわけだ。
機能しなかった新布陣。
これまで不動のスタメンだった安田理大が外れ、センターバックの広瀬健太が右サイドバックに入った。これで最終ラインにセンターバック3人を並べたことになる。右の攻撃的MFにはセンターFWの矢野貴章を入れた。片渕監督曰く広瀬を入れたのは相手のマテウス対策であり、矢野をサイドに入れたのは相手との力関係を考えて彼のスピードと高さを活かすためにとのことだった。
ところがこの布陣は、ほとんど機能しなかった。
新潟の特徴のひとつだったサイドからの攻撃はほとんどなくなり、クロスを入れようにも本来ターゲットになるべき矢野がいないので、必然的にFWやMFの足元にパスが集中した。すると相手センターバックに厳しく当たられ、ボールを失ってしまう。
大宮戦前の練習では、相手のラインが高いので裏狙いに取り組んだという。しかし、試合では裏を狙うシーンがほとんどなかった。最終ラインから相手DFの背後を突くボールもなく、2列目の高木善朗らはサイドバックがボールを保持した後で裏を狙おうとしたが、左サイドバック渡邊泰基はポジションを意識し過ぎて前に出てこない。
安田が左サイドバックにいる時は、安田がカットインから左足でパスを出し、裏で高木が受けるシーンが多々あったが、この試合ではそういうプレーは見られなかった。