“ユース教授”のサッカージャーナルBACK NUMBER
酷暑の中の高校総体サッカー決勝。
山梨学院vs.桐光学園で何があった!?
posted2018/08/20 07:00
text by
安藤隆人Takahito Ando
photograph by
Takahito Ando
本当の「プレーヤーズ・ファースト」とは何か――。
高校生達が真夏の三重で繰り広げた熱戦の数々を見て、感動や発見があると共に、得も言われぬ気持ちにもなった。
決勝のカードは山梨学院vs.桐光学園の関東決戦。
1年生からのレギュラーで今年高校3年生となって急成長を遂げている山梨学院のエースストライカー・宮崎純真と、今大会最大の目玉選手である桐光学園の2年生エースストライカー・西川潤の10番対決が注目された試合は、21分に西川が右からのクロスを綺麗なヘッドで合わせ、桐光学園が先制した。
そこから一進一退のゲームが展開され、共にチャンスをモノにできず、試合は1-0のまま後半アディショナルタイムに突入。その残り5分という短い時間で……この大会を象徴するシーンが生まれてしまった。
試合の最後の最後で同点弾が。
桐光学園の西川が右サイドからドリブルで1人を交わして切れ込み、完全にGKと1対1となった。ドリブルでゴール前まで運んで行く西川に対し、山梨学院DF保坂紘生が必死に戻り、左サイドでは桐光学園FW敷野智大がフォローに回ろうとゴール前に向かって走っていた。
西川のシュートを山梨学院GK市川隼がビッグセーブ。ボールは左サイドに流れていくと、このこぼれ球に対し、両チームのFWとDFである敷野と保坂が反応した。
敷野はフィジカルとスピードに秀でた選手。
ボールがこぼれた瞬間は、敷野の方がボールの位置に対して若干優位に立っていた。だが、その敷野がなかなか加速しない。スピードを上げられないまま、先に保坂が追いつき、大きく前線へクリアすることとなった。
このクリアボールをパワープレーで前線に上がっていたCB大石悠介が捉え、敵DFとうまく入れ替わり、そのまま右サイドを突破。マイナスの折り返しを宮崎が蹴り込んで、起死回生の同点弾に繋がったのである。