甲子園の風BACK NUMBER
吹奏楽の大会が甲子園と重なった!!
「ブラバン応援ゼロ」をどう避ける?
text by
梅津有希子Yukiko Umetsu
photograph byYukiko Umetsu
posted2018/08/23 17:00
吹奏楽部OBと近隣の中学生が駆けつてくれた近江高校のアルプススタンド。立派な演奏でした!
「楽しんで演奏することが一番大切」
横浜もコンクールには参加していないが、吹奏楽部の生徒たちに話を聞くと、「音楽を点数で審査されるのは違うと思う」「僕たちは楽しんで演奏することが一番大切だと思っているので、野球応援や自分たちのコンサートを大事にしている」という言葉が返ってきて、中高時代にひたすらコンクールで金賞をとることしか頭になかった吹奏楽部出身の自分は、思わずハッとさせられた覚えがある。
いつも楽しそうに楽器を吹く横高の男子部員たちの姿を見ていると――改めて吹奏楽の活動についてたくさんの気づきがあり、音楽に向き合うことの素晴らしさを再確認させられることとなる。
どの学校も事情を抱えての応援なのだ。
コンクールと野球応援の両立については、さまざまな考え方があり、正解はないといえるだろう。
コンクールの日程と当たっても、「コンクールでの本番が終わり次第球場に駆けつける」という吹奏楽部もあれば、「コンクール1週間前なので、コンディションを整えるためにも、コンクールメンバーは球場では吹かせない」という部もある。「屋外で長時間吹くと唇がバテる」「音が荒れる」などとよくいわれるが、「そんなことはまったく関係ないし、影響もない」という吹奏楽部顧問もいる。
部員数が100人を超えるような大所帯の吹奏楽部だと、コンクールメンバー以外の部員で野球応援に臨むこともできるが、部員数が20人や30人という部も多数あり、そのような場合は部員全員がコンクールメンバーとなる。
野球部の日程と重なって、吹奏楽部ゼロという事態になることを避けるために、今回の近江や済美のように、何とかして助っ人をかき集めるという学校も多い。さらに、沖縄や北海道など甲子園から遠い学校の場合は、大阪や兵庫の吹奏楽部に友情応援を依頼するケースも少なくない。今大会では、近江は甲子園からも近い滋賀県の学校のため、「コンクールが重なったとはいえ、さすがに関西の学校に頼むのは申し訳ない。みんなコンクールがあるのは同じですから」(吹奏楽部顧問・樋口心氏)という事情となった。