甲子園の風BACK NUMBER
吹奏楽の大会が甲子園と重なった!!
「ブラバン応援ゼロ」をどう避ける?
text by
梅津有希子Yukiko Umetsu
photograph byYukiko Umetsu
posted2018/08/23 17:00
吹奏楽部OBと近隣の中学生が駆けつてくれた近江高校のアルプススタンド。立派な演奏でした!
吹奏楽部不在でも……頑張った!
近江は、コンクールに出ないメンバー10人だけでは少ないため、OBと近隣の中学校に助っ人を依頼し、37人の臨時編成で演奏することに。
以前は選手1人に1曲というスタイルだったが、今年の選抜で応援を大リニューアルして洋楽メドレーに。ところが、練習期間がほとんどなく、当日ぶっつけ本番という臨時バンドでこの応援を再現するのは難しいと判断。チャンステーマ2曲と、ヒットおよび得点時の曲だけを演奏することにして、あとは野球部の声の応援、いわゆる“口ラッパ”で乗り切った。
12日に初戦を迎えた広陵は、吹奏楽部47人全員がコンクールメンバー。
OBや他の学校に依頼もしたが、予定がうまく合わず、吹奏楽部はゼロ。ブラスバンド席に野球部員が陣取り、力強いバスドラム(大太鼓)でリズムをとりながら、『サウスポー』や『男の勲章』『コンバットマーチ』などを口ラッパで歌った。
野球部応援団長の的場丈君は、「吹奏楽部がいないのは正直寂しいけれど、いない分自分たちの応援でがんばろうという気持ち。コンクールのことはよくわからないけれど、がんばってほしい」と話した。
初戦を突破した済美と近江は、2回戦からは吹奏楽部が駆けつけ、アルプススタンドで「いつもの応援」を繰り広げた。
コンクールの参加は必須ではない!?
吹奏楽部出身じゃないと、コンクールの詳細はわからなくて当然だが、そもそもコンクールへの参加は必須ではない。希望する団体が各地域の吹奏楽連盟に申し込み、自主的に参加するものなのだ。
今回の甲子園出場校の中では、わたしの知る限りでは日大三と横浜がコンクールに出ていない。日大三の吹奏楽部は、野球応援を優先したいため、日程がかぶるコンクールには参加しないというのが部の方針なのだ。もちろん、野球部からそのように要請されているわけではない。吹奏楽部の意思でそうしているのだ。
その代わり、秋に開催される「日本学校合奏コンクール」という、吹奏楽コンクールとは異なる大会に出場している。夏の甲子園と時期が重ならないからだ。
同校の野球部と吹奏楽部の関係性は、筆者から見るととても理想的に映る。
野球応援を全力でがんばる吹奏楽部の定期演奏会では、野球部が運営を仕切るのだ。ステージで譜面台や椅子を並べ、ドアマンや案内係もすべて野球部全員で担当する。終演後はステージの袖で、体の大きな野球部が手を合わせてアーチを作り、「お疲れさま!」と吹奏楽部をねぎらうのだ。
数年前に初めてこの光景を目にし、お互いの部を応援しあう姿に、わたしはいたく感動した。