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吉田輝星が持っている“一直線”。
イチロー、松坂、上原と同じ才能。
posted2018/08/23 11:30
text by
田中大貴Daiki Tanaka
photograph by
Hideki Sugiyama
今夏の甲子園に旋風を巻き起こした、金足農・吉田輝星の投球フォームを見ていたら、川崎宗則の言葉を思い出した。
「ずっと一直線。あの伸び、あの回転数は、指先の角度から生まれている。いつか分度器で測りたい……」
これはイチロー、上原浩治、松坂大輔の3人と対戦し、または練習をした時にいずれも抱いた感想だという。
「最後にボールをリリースするときの指先の角度が地面とほぼ垂直。するとボールが伸び続け、ずっと落ちない感じになる」
「あの角度、普通じゃ無理なんです」
これが3人に通ずるポイントだ。川崎いわく、投手であろうと野手であろうと、ほとんどの選手が地面に対して、指先の角度が斜めになってしまう。できるだけ綺麗な回転を求めて、どれだけ角度を垂直に近付けようとしても、この「角度」をつけられる選手には天性があり、練習で得られるものではないという。
「あの角度、普通じゃ無理なんですよ。だから、その秘密を解析するために、分度器をメジャーのスプリングトレーニングに持って行きたい。大貴さん、テレビの企画でやってくださいよ」と川崎は熱く語っていた。
「彼らの遠投を見てください、遠投。どれだけ離れてもボールが伸びて、高さは変わらないんですよ」
確かに一流選手の遠投は惚れ惚れする。お金が取れるキャッチボール。私も中学時代、イチロー選手の遠投に魅せられて、何度もキャッチボールを観るためだけにグリーンスタジアム神戸に通い詰めた記憶がある。