Jをめぐる冒険BACK NUMBER
森保U-21、過密日程でも快進撃。
自主性重視の西野流に似てる?
text by
飯尾篤史Atsushi Iio
photograph byAFLO
posted2018/08/17 12:15
ネパール戦の辛勝から中1日、岩崎悠人(左)らのゴールで若き日本代表は見事な快勝を見せた。
ロシアW杯での西野ジャパンも。
ふたりが一緒にプレーするのは初めてだったが、阿吽の呼吸の背景には、やはりコミュニケーションがあったと前田は説明する。
「試合前から怜央と『ふたりで崩そうぜ』と話していた。なんか分からないけど、もう一回もらえるような気がした。それもたぶん話していたからだと思う」
チームを勢いづかせた開始早々のハイプレスも同様だった。先月、川崎フロンターレへの2020年の加入が内定した旗手が言う。
「チームとしても前から行こうと言っていたし、大然と悠人とも3人で話していて、自分たちは運動量もスピードもあるから前から行こうと話していた」
選手間でコミュニケーションを密にとってイメージを共有し、練習時間の少なさ、準備時間の短さをカバーする手法は、今夏のロシア・ワールドカップにおける西野ジャパンのマネジメントに近いものがある。
実際、インドネシア入りした初日に5~6月に出場したトゥーロン国際大会における好シーンの映像を確認すると、あとは、相手の分析ビデオを見るくらいしかしていないという。
ボトムアップ式で戦える集団に。
森保一監督の言葉を聞けば、選手たちにあえて詰め込んでいないことが分かる。
「どうやったら相手をこじ開けられるか1戦目は考えながらやってくれたと思うし、2戦目もどうやって得点を奪えるんだと、さらに得点の可能性を高めようと考えて選択してくれたことを頼もしく思う。
もちろん、チームとしてやるべきコンセプトは提示するけれど、サッカーはピッチの中で選手たちが相手と駆け引きしながら進めるもので、そこは選手にとっての楽しみのひとつでもあると思うので、どんどん積極的に考えてやってほしい」
つまり、トップダウンではなくボトムアップ方式で、自分たちで考えて戦える自立した集団にしようとしているわけだ。
もちろん、それができるのも、3-4-2-1の可変システムのメカニズム、後方からのビルドアップと速攻の使い分け、リトリートとハイプレスの使い分け、前線のコンビネーションによる崩しなど、コンセプトがすでにチームに浸透しているからだろう。