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レッドソックスと年間最多勝。
爆発的攻撃力で王座奪回を狙う。 

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芝山幹郎

芝山幹郎Mikio Shibayama

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posted2018/08/18 08:00

レッドソックスと年間最多勝。爆発的攻撃力で王座奪回を狙う。<Number Web> photograph by AFLO

7月28日、ツインズ戦で放ったホームランを見上げるJ・D・マルティネス。

三冠王を狙えるマルティネス。

 と書けばお察しのとおり、レッドソックスには苦手球団が少ない。対戦表を見ると、負け越している相手は、アスレティックス(2勝4敗)とホワイトソックス(1勝2敗)の2球団のみだ。まあ、この対戦数ではダメージも大したことはない。一方、カモにしている相手は、オリオールズ(14勝2敗)、ブルージェイズ(12勝4敗)、エンジェルス(6勝0敗)、レンジャーズ(6勝1敗)など、かなりの数にのぼる。けっこうな荒稼ぎだ。

 では、レッドソックス絶好調の原動力はどこにあるのか。だれしも認めるのは、破壊的な攻撃力だろう。8月14日現在、チーム総得点は661点で、2位のヤンキース(617点)を大きく引き離している。

 打線を見ると、たしかに凄い。ムーキー・ベッツ(3割5分、OPS=1.106)は、打率とOPSの2部門で大リーグ1位を走り、J・D・マルティネス(37本塁打、104打点)は、本塁打と打点の両部門で球界トップだ。マルティネス(3割3分3厘)には、三冠王の可能性さえ残されている。

若手も心強い一方、投手陣は危うい。

 このふたりがそろうだけでも凄いのに、若手が心強い。大器ザンダー・ボガーツ(25歳で早くも大リーグ6年目)にはもっと爆発してほしいが、昨年、アーロン・ジャッジに食われて新人王を逃したアンドルー・ベニンテンディ(24歳)が順調に伸びている。2割9分8厘、15本塁打は十分に合格点だろう。

 加えて、21歳の新鋭ラファエル・デーヴェルズが大成の予兆を感じさせる。'17年のALDS(対アストロズ)で本塁打を2戦連発したパワーは、まだまだ発展途上だ。

 これだけの攻撃力に掩護されれば、投手陣もかなり楽ができる。チーム防御率3.48は、アストロズ(3.06)に次いで大リーグ2位だが、絶対的エースのクリス・セール(12勝4敗、1.97)を除くと、他の先発陣は若干の危うさを残す。

 デヴィッド・プライスやリック・ポーセロなども、実績は申し分ないにせよ、ピーク時に見せた圧巻の投球を期待するのはもはや難しいのではないか。とくに、打線が不振に陥ったときなどは、ブルペンの安定感がいまよりも重要になってくるはずだ。

【次ページ】 コーラ新監督が考えるべきは……。

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