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ドラ1候補の社会人投手がまた1人。
メジャー直行という吉川峻平の決断。
posted2018/08/19 17:30
text by
ナガオ勝司Katsushi Nagao
photograph by
Kyodo News
今年の日本プロ野球(以下NPB)のドラフト上位候補で、社会人野球のパナソニックに所属する2年目の吉川峻平投手(23)がメジャーリーグに挑戦するという。日本の報道によると、すでにダイヤモンドバックスなどが獲得の意思を示しているそうだ。
YouTubeで映像を見る限り、スムーズな投球フォームから時速140キロ台の4シームファストボールを繰り出すことに加え、2シーム(もしくはシュート)のような軌道で速球を動かすこともできるようだし、カーブやチェンジアップの切れもコントロールもかなりいい。間違いなく、「逸材」である。
野茂英雄氏がメジャー・デビューを果たした1995年の1月24日生まれだというから、1994年7月5日生まれのエンゼルス・大谷翔平と同学年になる。野球日本代表「侍ジャパン」の公式サイトによると身長185センチ体重80キロと、メジャーリーガーの基準で考えれば「痩身」の部類に入る。
関西大北陽高や関西大卒業時にドラフトにかからなかった「遅咲き」が、これからどれぐらい才能を伸ばすのか、とても楽しみだ。
田澤純一は22歳でメジャー契約をした。
社会人野球からNPBを経ないでメジャーを目指した選手と言えば、現在エンゼルス傘下のAAA級マイナー、ソルトレイクでプレーする田澤純一投手を連想する方も多いだろう。
田澤は横浜商科大学高校から新日本石油ENEOSに入社し、一時は解雇寸前となったものの、その後の努力が実って都市対抗野球のMVPに該当する橋戸賞を獲得するなどして、社会人野球4年目でその頂点に昇りつめた。
田澤がNPBのドラフトを回避してレッドソックスと契約したのは、彼が22歳の時だった。当時のメジャーリーグには、大谷の契約時に話題になったような「25歳未満の外国人選手はマイナー契約しかできない」などという差別的なルールは存在しなかったので、3年総額300万ドル(約2億8000万円)のメジャー契約(40人枠に入る選手)を交わすことができた。
田澤は1年目の2009年からメジャー・キャンプに招待選手として参加した。オープン戦で好投し、傘下のマイナーAA級ポートランドで開幕投手を務めた。7月にはメジャー目前のAAA級ポータケットに昇格し、8月には故障者の代役でメジャーに初昇格した。