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レッドソックスと年間最多勝。
爆発的攻撃力で王座奪回を狙う。
posted2018/08/18 08:00
text by
芝山幹郎Mikio Shibayama
photograph by
AFLO
レッドソックスの勢いが止まらない。8月14日現在、121試合を経過したところで86勝35敗。勝率7割1分1厘はもちろん大リーグトップだが、残り41試合をこのペースでこなしていくと、年間勝利数は115に達する計算になる。
と書けば、だれしも思い出すのは、2001年のマリナーズだろう。この年、新人のイチローを得たマリナーズは一貫して好調を維持し、年間116勝の大リーグタイ記録(1906年にはカブスが152戦で116勝)を達成した。
以後、大リーグでは、この勝利数を超えるチームが出ていない。21世紀に入ってから年間100勝を超えたケースは、マリナーズを除くと18例あるが、105勝の壁はなかなか破れない。2017年のドジャースも、8月末までに91勝をあげたのに、終盤で急激に失速し(11連敗さえ喫した)、最終的には104勝58敗の成績にとどまってしまった。
レッドソックスの場合、球団史上最多の勝利数は1912年の105勝だ。100勝以上は通算3回('12年、'15年、'46年)で、最後に100勝を超えたのは1946年。テッド・ウィリアムズの全盛期で、この年も三冠王まであとひと息だったが、ワールドシリーズではカーディナルスに3勝4敗で敗れ去った('12年と'15年は、ワールドシリーズを制している)。
以後は、'78年の99勝(AL東地区のプレーオフでヤンキースに敗退)、2004年の98勝(ワールドシリーズ制覇)、'13年の97勝(ワールドシリーズ制覇)がめぼしいところで、圧倒的な勝ち越しは経験していない。今季100勝以上を記録すれば、なんと72年ぶりの快挙となる。
今季は安定した戦いぶり。
今季のレッドソックスは、安定した戦いぶりを見せている。4月に19勝6敗(7割6分)の好スタートを切ったあと、5月にはいったん減速したものの(18勝11敗)、その後も大崩れは見せない。6月=17勝10敗、7月=19勝6敗と着実に調子を上げ、8月は14日間で11勝1敗の驀進がつづいている。
連敗も少ない。3連敗を喫したのは4月21日から24日にかけての1度だけだ。このときは、アスレティックス(2敗)とブルージェイズ(1敗)に足元をすくわれたが、以後は悪くても2連敗どまり。7月27日以降は、連敗を喫したケースさえ見当たらない。