野球善哉BACK NUMBER
フルスイング主義は誤解されてる?
常葉大菊川の超攻撃野球の本質。
text by
氏原英明Hideaki Ujihara
photograph byKyodo News
posted2018/08/14 16:00
盗塁を刺し続けた日南学園の捕手・蓑尾海斗。それでも、盗塁に挑戦し続けた常葉大菊川の選手たち。
「うちは守備のチームです」
常葉大菊川のフルスイング――。
その指導方針は単に遠くに飛ばすための「打」のチームということを意味するのではない。いつもフルスイングすることを意識した上で……空振りをすることや他の失敗をすることを指導者が進んで認め、その「攻めの空気」をチーム内に醸成することで、あらゆる局面での積極的なプレーを生むということなのである。
高橋監督が語った言葉が象徴的だ。
「うちは守備のチームです。『守りがあってからのフルスイング』なんです。
フルスイングをすることからチームづくりを始めると、守備は雑になります。でも、守れる選手を起用しているわけではありません。
いつも『挑戦できる選手』を使いたいと思っているだけです。自分から前に出ていく選手は絶対にうまくなりますから」
選手たちを見守る監督の佇まい。
常葉大菊川はノーサインだ。
多くの監督がそうであるように、高橋監督はベンチに仁王立ちしているが、サインのために身体を触るようなことがまったくない。監督然としているというよりも、選手たちが積極的にプレーするのを見守っている……というような佇まいだ。
迷わないチーム、怖がらないチーム。
11年ぶりの対戦となった日南学園の金川豪一郎監督は「昔のチームと重なる部分は多かったです。思い切りがいい、積極性がある。すべてにおいて」と言った。
2018年版・常葉大菊川はまた強そうだ。