守備の積極性は投手のリズムから。

　一方の守備面でも積極的なプレーがあった。

　6回表、無死一塁から遊撃の前へと緩くボールが飛んだ場面だ。

　インパクトの瞬間に打球方向にチャージしていた遊撃手の奈良間は、ボールをさばくとすぐさま二塁へ転送。ダブルプレーを成立させている。

「守備練習はどこよりも積んできているので、セカンドに投げることに迷いはなかったです」と奈良間はあっさりとコメントしたが、打球そのものが緩かったせいで併殺はかなり難易度が高いプレーだったのだ。それでも恐れずにダブルプレーを狙いにいった奈良間の積極性には、正直驚かされた。

　奈良間は好プレーが生まれるのは、投手・漢人友也のおかげだとも言っていた。「リズムよく投げていたので、すごく守りやすかった」からだという。

この1試合で4併殺も記録。

　漢人のピッチングスタイルにも常葉大菊川らしさは出ている。

　捕手の根来龍真が解説する。

「守備でリズムをつくって攻撃につなげるのがうちのスタイル。リズムをつくりたかったので、積極的にストライクを取りに行きました」

　日南学園は初球から積極的に振ってきたが、それでも、恐れることなくストライクゾーンを要求したということだった。

「もちろん、ストライク先行ばかりだと危ないので、時にはボール球を使いましたけど、基本は下位打線にはストライクを取りに行きましたね。今日はそれが上手く行きました」

　漢人は9回88球の完封勝利だった。

　打者にどんどん向かっていくからリズムが生まれ、好プレーが生まれる。チームで4併殺を奪ったのも見事だった。

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