野球善哉BACK NUMBER
フルスイング主義は誤解されてる?
常葉大菊川の超攻撃野球の本質。
posted2018/08/14 16:00
text by
氏原英明Hideaki Ujihara
photograph by
Kyodo News
迷いがない。恐れがない。
常葉大菊川のプレーのことだ。
この日の第1試合では日南学園を相手に3-0で勝利。試合の中で徹底されていたのは、走・攻・守のすべてにおいて積極的にプレーし続けることだった。
常葉大菊川・高橋利和監督は言う。
「(思い切って進塁した)先の塁でアウトになる、空振りをする、全然問題ないです。私はいつもそう言っていますが、チーム内でも自然にそういう空気をつくってくれている。こういう雰囲気の中でプレーしていると、試合で少しずつ上手くいくうちに段々選手たちにも自信が生まれてくるものです」
2007年、常葉大菊川は「フルスイング」を武器にセンバツを初制覇した。翌夏にも選手権準優勝に輝いている。送りバントをしない「フルスイング」を信条とする打棒が持ち味で、とにかく攻めまくるのが当時からの印象だ。
ただ、常葉大菊川の「フルスイング」野球はどこか誤解されているようにも思われる。
長打を狙って「マン振り」するだけのように思われがちだが、実際は異なる。すべてのプレーにおいて積極性を打ち出していくという本質こそが、最も重要なのだ。
二度の盗塁失敗も「まだまだ行ける」。
1番を務める奈良間大己主将はいう。
「前向きな失敗はOKだと監督から言われています。だから、僕らは本当に勝負していこう、攻めたプレーをしていこうと常に思っています。きょうは盗塁を二度失敗しましたけど、それでも、まだまだ行けると思っていました」
その象徴的なプレーの1つが、まず、3回裏の攻撃に生まれた。