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点取り屋・長岡望悠が全日本復帰!
中田久美監督の一言と新しい自分。
text by
米虫紀子Noriko Yonemushi
photograph byAFLO
posted2018/08/08 16:30
2016年、久光製薬での長岡望悠(左)と中田久美監督。全日本で再び2人は選手と指揮官の関係となる。
リハビリ期間に広げた「想像」。
頼れる点取り屋が全日本に戻ってきた。いや、ただ戻っただけではない。今の長岡は、以前よりも多くの可能性を秘めている。
黒鷲旗の大会中、チームメイトの野本梨佳がこう言っていた。
「望悠はすごく脳のことに詳しくなっているので、いろいろ教えてもらっています」
リハビリ期間中、長岡は体を動かせない分、さまざまな知識を身につけた。
「焦ってもいいトレーニングはできないし、いい方向につながらないので、それよりも自分の体のことを学んだり、今やりたいことに時間を使おうと思って。その方が想像も広がっていくと思っていろいろやりました。
バレーボールで私たちが世界に勝とうと思ったら、絶対にすばしっこくないとダメだと思うんですよ。今の世界(の強豪)って、でかくて速くてパワーもあるから、私たちは相手の隙を絶対に逃しちゃいけない。そのためにはすばしっこさを身につけて、間(ま)を操ったり、頭を使ったり、相手を見て読んだり、いろんな駆け引きをしたり……。結局は自分の体を思い通りにコントロールすることが大事だと思うんです。それが最低限備わらないと、何も始まらないのかなと思います」
小脳を使う感覚に「面白いな」。
そこで、体や運動のメカニズムなどを学んだ。中でも脳に興味を持ったきっかけは、長岡自身が感じていたある“感覚”だった。長岡は首の後ろの、長く伸びた髪を結んでいるあたりを抑えながら説明してくれた。
「以前から私、プレーしている時に、後頭部の下のこのあたりの脳をすごく使ってる感じがしていたんですよ。ここを使えている時は、いい感じだった。それで気になって調べたら、そこは小脳だったんです。小脳って、運動機能に関わっていたり、なにかを体で覚える時に使う場所だと書いてあって、『ほーお! 面白いな』と思って。そういう話をしたら、トレーナーの方が『こういうのもあるよ』って、詳しい本を見せてくれました」
そこから、学ぶ意欲と範囲はどんどん広がっていった。