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点取り屋・長岡望悠が全日本復帰!
中田久美監督の一言と新しい自分。
posted2018/08/08 16:30
text by
米虫紀子Noriko Yonemushi
photograph by
AFLO
8月19日に開幕するアジア大会の登録メンバーに、久光製薬スプリングスの長岡望悠の名前がある。国際大会でのメンバー入りは、2016年リオデジャネイロ五輪以来、2年ぶりである。
長岡は高さとスピードを兼ね備えた攻撃でリオ五輪ではチーム最多得点を挙げたサウスポーエース。2020年東京五輪に向けても当然、日本の得点源として期待されていた。
しかし2017年3月4日のV・プレミアリーグ、NECレッドロケッツ戦の試合中に左膝の前十字靭帯断裂という大怪我を負い、昨シーズン1年間はコートから姿を消した。手術と長期間に渡るリハビリを経て、今年ようやく復帰を果たした。長岡が加われば、昨年から全日本の課題となっていたバックアタックの得点力は大きく改善されるだろう。
「このままじゃ使えないよ」
ただ、長岡は過去の実績と名前だけで元の場所に戻れたわけではない。
「このままじゃ使えないよ」
今年4月、全日本合宿に招集して長岡のプレーを見た全日本の中田久美監督は、そう言って長岡を久光製薬に帰らせた。そして当初復帰戦となる予定だった5月15日開幕の国際大会、ネーションズリーグではなく、国内の黒鷲旗全日本男女選抜バレーボール大会に出場させた。中田監督はこう明かす。
「負傷した膝自体には問題はなかったんですが、元に戻すためにどこかで一歩、自分で越えなきゃいけないところを、越えていけていなかった。彼女はすごく細かく自分の感覚というものを気にする人なので、その感覚がしっくりこなかったんだと思う。それはわかるんだけど、だからっていつまでも調整ばかりしていてもしょうがない、という時期にもう来ている。(五輪まで)2年ということを考えたら、そこを越えるために、誰かが背中を押すとか、強引に引っ張るという手助けが、今この人には必要なのかなと思いました。そうしないと、このまま終わっちゃう。
だから、『調整ばかりしていたら使えない。勝つための、点数を取るスパイクってどういうことなのかを、黒鷲旗で経験してきなさい。自分を見つめ直しなさい。そこを越えないと、いつまでも越えないうちに終わっちゃうよ』と伝えました」