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点取り屋・長岡望悠が全日本復帰!
中田久美監督の一言と新しい自分。
text by
米虫紀子Noriko Yonemushi
photograph byAFLO
posted2018/08/08 16:30
2016年、久光製薬での長岡望悠(左)と中田久美監督。全日本で再び2人は選手と指揮官の関係となる。
8年来の付き合いだからこそ。
中田監督と長岡は、中田監督が久光製薬のコーチ、監督を務めていた頃からの8年来の付き合いだ。指揮官の意図を理解した長岡は、「黒鷲、やり切ってきます」と答えて代表合宿を離れた。
そして4月30日に開幕した黒鷲旗で、長岡は約1年2カ月ぶりに実戦のコートに立った。初戦の金蘭会高校戦に先発出場。体のキレやラリー中のスピードなどはまだ元通りというわけにはいかなかったが、コートに入るとやはり存在感がある。勝利した試合後、感慨深げにこう語った。
「久しぶりだなーって……。試合と練習は全然違って、久しぶりの試合はすごくワクワクするものがありました。本当に、試合に出られることがすごく幸せだなと感じました。もっと体のスピードを上げることももちろん、試合の中でパフォーマンスを発揮できるよう取り組みたい。自分は点数を取ることが仕事なので、その嗅覚を、試合の中で研ぎ澄ませていかないと。それに試合の中でのジャンプや切り返しの体力が必要。それは練習とは別のものがあるなと今日すごく感じました」
「納得がいくという部分では10%も行っていない」と言いながらも、1本、これだと思うスパイクがあったと語った。
「なんとなく打つ前に、全体が見えて、『ここ、行ける』という感覚があったので、そういう感覚を多く養っていければと思います」
試合後、LINEで送った手応え。
翌日のPFUブルーキャッツ戦は試合途中から出場し、攻撃の軸としてフルセットの接戦に打ち勝った。
大会後、長岡は中田監督に、「こういうことなんですね。久美さんの言っていることがよくわかりました」というLINEを送った。
「試合の中で、『あー、この感じ! そうだったそうだった』ってすごく思った感覚があったんですよ。究極の(競った)試合もあって、その中で湧き出てくる自分があった。それはいくらリハビリを終えて、合宿に行って練習したり、ゲーム形式をやっても、絶対に出てこなかったもの。
『自分が勝たせる』って久しぶりに思ったんです。もちろんバレーはチームで勝つんですけど、私のポジションってそう思わなきゃいけないポジションだと思うんですよ。それって追い込まれないと出てこないもの。ただ、これで越えられたわけじゃなくて、ただのスタートでしかない。スタートは切れたので、ここからどんどんペースを上げていく、という感じです」