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松山英樹「パット見て下さい」
慕われる谷原秀人と宮里優作の助言。
text by
桂川洋一Yoichi Katsuragawa
photograph byYoichi Katsuragawa
posted2018/08/03 08:00
2018年は試行錯誤が続く松山英樹。谷原秀人と宮里優作の助言はプラスとなるか。
許容範囲を狭めないように。
パッティングについては、宮里は若いころから苦労したこともあり、ひとつ提言があった。
「入らなかったことを技術のせいにばかりしていると、かなり苦しくなる。そうすると手が動かなくなる」
神経質なところがある宮里は過去に、その自分に厳しいメンタルが災いし、まともにパターが打てなくなった時期がある。「手が動かなくなった人が言うから間違いない(笑)」。長尺パターも実際に5試合ほどで使った。
「言い訳はなんでもいい。ボールが『スパイクマークで跳ねてしまった』とかでもいい。それを周りも分かってあげて、キャディもそう言ってあげたりするといい」
自分を無理にでも納得させて次に進む。許容範囲を狭めないよう忠告した。
「マキロイだってこういう時期は」
今回はこちらが無理を言って、ふたりには一番近くで松山を見ているプロとして、解説者然としてもらった。ただ、実際のところはどちらも本人が解決する以外に方法はないというのが本音のようだ。
しかし、谷原は汗をぬぐいながら「まあ、でもさ」とつぶやいた。
「こういう時期があった方がいいんじゃない。オレはそう思う。試行錯誤がうまくいかないことを否定しなくていい。『そういう時期だな』と考えて、いろんなことにトライしてさらに良くなればいいと思う」
進化の過程で苦労はつきもの。それを避けるのではなく、受け入れてほしい。
「みんなそうだから。ローリー・マキロイだってこういう時期はある」
別の場所で、宮里も言った。
「相変わらず、やっていることは目標に向かって一直線。でも体の状態も良い、フィーリングも悪くない、でも何をやっても結果的にうまくいかない時期はあるんだよね。長くやっていると。
英樹はちょっと大人になった。ギラギラしていたのが、子どもが生まれて“お父さん”になったかな。でもそれはこれから先、絶対に良くなる要素だと思う。自分のためだけにじゃなく『誰かのために頑張ろう』という意識は絶対に力になる。僕なんか、体にムチ打って家族のために稼がないといけないって感じだよ」