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松山英樹「パット見て下さい」
慕われる谷原秀人と宮里優作の助言。
posted2018/08/03 08:00
text by
桂川洋一Yoichi Katsuragawa
photograph by
Yoichi Katsuragawa
7月に入り、松山英樹は英国での2連戦、スコティッシュオープンと全英オープンでまさかの予選落ち。全英では2日目の最終ホールでトリプルボギーを叩き、カットラインの下に落ちるという悲劇に直面した。
ちょうど1年前、3位だった松山の世界ランキングは現在16位。昨季はPGAツアーのレギュラーシーズンをポイントレース1位で終え、プレーオフシリーズを迎えた。今年のポイントランクはここまで86位と低迷。 2月の左手の故障を乗り越え、日々の練習では好感触を得ることが増えたが、望ましい結果を導けない。
周囲からは毎試合タイトル獲得を期待される分、優勝争いに割って入れない現状を嘆かれてしまう。そして、本人も同じ気持ちのはずである。
人の心を読み解くのは難しい。特に松山の場合は苦しむ様子を外に見せたがらないから余計にだ。彼の状態はいま、どうであるか。間近でそれを見ている人物、しかも同じツアープロの言葉なら理解の手助けをしてくれるかもしれない。
松山が慕うタニさん、ユーサクさん。
「タニさん。ユーサクさん」
松山(だけではないが)がそう慕う谷原秀人と宮里優作は近年、同じ試合に出るたびに練習ラウンドを一緒に回る仲だ。ともに東北福祉大OBの先輩だが、それぞれ干支で一回り以上年齢が違う。とはいえ、両者ともアラフォーにして活躍の場を海外に求めるその気概に松山は共感するのだろうか。彼らといる時の表情は、まったくもって弟分のそれである。
特に谷原とは昨年、松山がPGAツアーのダブルス戦でコンビに指名し、その後も遠征先でたびたび食事をともにしている。
谷原はともに一時帰国していた今年の春、松山に誘われプライベートで一緒にゴルフをした。「英樹に『パットを見て下さい』って言われてさ」。谷原のゴルフはグリーン上のプレーが生命線。名手の目から見れば、松山の最近の低迷は「一番はパター(の不調)から来ていると思う」そうだ。