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内海哲也は何を取り戻したのか。
ストレート比率が増えて復活の3勝。
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph byKyodo News
posted2018/07/21 09:00
二桁勝利は2013年の13勝を最後に遠ざかっている内海哲也。後半戦G投の牽引役を担いたい。
昨年は勝ち星2つ、今年は二軍スタート。
特に昨年は大きな故障がないにもかかわらず勝ち星はわずかに2つ。7月8日の阪神戦以来、白星から見放されていた。
迎えた今季。開幕は二軍スタートで一軍にお呼びがかかったのは、シーズンが始まって1カ月半近くが経った5月10日の阪神戦だった。
「すごく遠い場所だと思ってファームでやっていた」
こう語って一軍のマウンドに上がった内海は、5回3分の1を投げ4安打2失点で306日ぶりの白星を手にしている。さらに6月3日のオリックス戦では、試合は敗れたものの5回3分の1を5安打1失点に抑える粘り強い投球を見せた。
その後はローテーションの一角を担って、後半戦の開幕となる7月16日の阪神戦に先発。この試合でも6回6安打1失点で対阪神通算27勝目となる今季3勝目を挙げるなど復活を果たした。
「真っ直ぐを見直すことが必要」
もちろんこの復活劇には、言葉では簡単に表せないような様々な苦労があったはずだ。ただ1つ、明らかに昨年から変わったピッチングの傾向がある。
それはストレートの投球比率の変化だった。
「速さではない。真っ直ぐの切れ。みんな変化球投手だと思っているけど、若いときから彼の一番、軸になるのはその切れのある真っ直ぐだった。だから今年はもう1度、その真っ直ぐの切れを取り戻すことが課題だよ」
開幕前に二軍スタートが決まった内海について、若い頃からの師匠でもある小谷正勝二軍投手コーチはこう語っている。
「実はトラックマンでも、もう1度、真っ直ぐを見直すことが必要だというデータが出ていたんです」
こう語るのはある球団関係者だった。
「昨年のデータを洗い直すと、本人の思っている以上に真っ直ぐの被打率が低かった。だからもっと真っ直ぐの比率を高めていこうという方針が出ていたんです」