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ネイマールの演技はもう通用しない。
VAR制度はサッカーそのものを救う。
text by
手嶋真彦Masahiko Tejima
photograph byGetty Images
posted2018/07/19 11:30
悪い意味で世界中の話題となってしまったネイマール。とはいえ26歳、改心して真のスーパースターとなれるか。
どんなに異なる視点でも解釈は割れる。
ただし、誤審が疑われるすべてのインシデントを対象とするわけではない。
(1)ゴールかノーゴールかなど得点に関係するプレー。
(2)PKか否か。
(3)一発退場処分に値するプレーか。
(4)警告や退場とする選手の特定。
以上についての「明確かつ一目瞭然な誤審」もしくは「重大な見逃し」に限られる。
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W杯においては2014年大会から導入されたゴールライン・テクノロジーは、ゴールか否かを複数のハイスピードカメラやコンピューターグラフィックス(CG)を用いて明らかにするものだ。機器の故障等がなく、システムがきちんと機能していれば、再現されたCGを疑う余地はない。
VARはテクノロジーそのものではない。テクノロジーの助けを借り、最終的に判定するのはピッチ上のレフェリーなのだ。どれだけスロー再生を繰り返し、異なるアングルで確認したとしても、解釈が割れるケースは起こり得る。
冒頭のペリシッチのプレーを、ピタナ主審はハンドと見なした。そのPKを含め、4ゴールを奪ったフランスが2ゴールのクロアチアを破り、世界王者に輝いた。
レフェリーの尊厳を損ないかねないのか?
FIFAによるとロシアW杯のグループリーグ48試合では、335件(1試合平均約7件)のインシデントがVARによってチェックされ、そのうち17件がVARの助言に基づく主審のレビュー(見直し)に持ち込まれた。その結果、17件中14件で当初の判定が覆ったというから、誤審が減ったのは間違いない。
いったん下した判定がテクノロジーによって覆されたように見えるからなのか、VAR制度はピッチ上のレフェリーの尊厳を損ないかねないという見方もあるようだ。本当にそうだろうか。
誤審を減らすのがVAR制度の目的だ。その恩恵に誰よりもあずかるのは、ピッチ上のレフェリーに他ならないだろう。