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ネイマールの演技はもう通用しない。
VAR制度はサッカーそのものを救う。
text by
手嶋真彦Masahiko Tejima
photograph byGetty Images
posted2018/07/19 11:30
悪い意味で世界中の話題となってしまったネイマール。とはいえ26歳、改心して真のスーパースターとなれるか。
“騙し合い”とシミュレーションは違う。
W杯本大会出場国が32カ国となった1998年大会以降の6大会で、南米勢がベスト4にひとつも残れなかったのは今回が2大会目。過去10大会(1994年大会までは出場24カ国)だと3大会目だ。VAR制度導入の影響を指摘する声もある。南米勢が過去のW杯で"ずる賢く"勝ち上がってきたのだとすれば、たしかに影響はあったのかもしれない。
サッカーは騙し合いのスポーツと言われるが、騙し合うのは選手同士やチーム同士であって、演技でPKを得ようとするシミュレーションがイエローカードの対象となる通り、レフェリーを欺こうとする姿勢や試みは正されてしかるべきものだ。
ネイマールの“過剰演技”が多くの観戦者を辟易させたのは、その観点から見ても当然だろう。
レフェリーを騙し、小賢しく勝利やタイトルを手に入れる道は閉ざされたか、きわめて細くなったと言っていい。ネイマールのような傑出した才能がそのポテンシャルを遺憾なく発揮するためにも、フットボールというスポーツがもっと愛されるようになるためにも、VAR制度は必要だ。