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アンチェロッティがナポリを変える。
ユーベのロナウドと師弟対決も。
posted2018/07/20 17:00
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph by
Getty Images
イタリアの夏がにわかに“熱く”なってきた。
ビーチでも町中のバールでも、巷の話題は「C・ロナウドは本当にユベントスに来るのか」で持ちきりだった。
7月10日に正式発表されたこの移籍が今夏一番の特大ニュースだったことは間違いないが、セリエAを揺るがす電撃ニュースはもう1つあった。
稀代の名将アンチェロッティのナポリ監督就任だ。
昨シーズンが終わって間もない5月23日、デラウレンティス会長を前に3年契約へサインした彼は、映画王である同会長とともにピストルを構えるポーズで記念撮影に応じた。スパイアクション映画『007』へのオマージュが彼らの野望を代弁している。
“王者ユーベよ、狙いは定めた。逃げても無駄だ”
サッカー史上随一の戦績を誇る名将。
アンチェロッティの経歴には文句のつけようがない。
ミラン時代にチャンピオンズリーグを2度獲得し、欧州の頂点に立った。チェルシーでプレミアリーグとFA杯を制し、フランスもパリSGで征服。レアル・マドリー時代にはリーガを制し損ねたが、クラブの悲願だった10度目のビッグイヤーをもたらし、バイエルンに招かれた2年前のシーズンにはブンデスリーガも制した。足りないのはW杯(とEL)だけ、監督としてはまさに怪物クラスの大物といえる。
当代どころかサッカー史上随一の戦績を誇る名将中の名将は、「もしイタリアで再び指揮を執るなら現役時代を過ごして愛着あるミランかローマでのみ」と常々繰り返していた。
それだけに9年ぶりの母国で、新天地にナポリを選んだ決断は驚きをもって受け止められた。最も驚いたのは、ナポリの選手たち自身だったかもしれない。
招聘決定の一報を聞きつけたFWインシーニェは、「本当に来てくれるなんて期待していなかった」と開口一番目を丸くしたほどだ。