福西崇史の「考えるサッカー」BACK NUMBER
福西崇史のロシアW杯ベスト11。
「クルトワは存在が反則(笑)」
text by
福西崇史Takashi Fukunishi
photograph byGetty Images
posted2018/07/18 17:30
アザール、カンテ&ポグバ……福西氏が強く推した面々は納得のメンバーだ。
泣く泣く外した名手たちにも拍手を。
ちなみにベストイレブンから泣く泣く外したんですけど、触れておきたいのはラキティッチ、デブライネ、グリーズマンの3人。それぞれモドリッチ、アザールとルカク、ムバッペらの相棒の良さを十分に生かす動きを見せていた。チームプレーの大切さを感じさせる選手たちです。
あと大会を通じて印象的だったのは、開催国ロシアのベスト8でしょうか。実は開幕戦直前までは「あれ、4年前のブラジル大会と比べると正直盛り上がってないかな……」と思ってました(笑)。でも勝利するたびに国内のムードが熱くなってきたし、大会全体に波及していきました。国全体に勢いがあったからこそ、スペインをPK戦の末に倒せたんだと思います。
育成年代に取り組んだ国の充実。
最後に今回のW杯では、綿密な育成に取り組んできた国の充実ぶりを強く感じました。
「若い」というイメージが強いフランスやベルギーですが、すでに2年前のユーロでそれぞれ準優勝とベスト8という結果を残しています。
育成年代から数多くの経験を積んだ選手たちがA代表の主力に成長したことが、ロシアW杯での飛躍に繋がっています。また20代前半から中盤の選手が数多いイングランドがベスト4まで勝ち上がりましたよね。
この傾向は日本サッカー全体もしっかりと受け止めたいところです。A代表だけでなく、東京五輪世代はもちろんですし、さっそく再開するJリーグにも同じことが言えます。何より世界一の経験があるイニエスタ、フェルナンド・トーレスが来てくれましたから、学ばない手はない。
トーレスは鳥栖の新加入会見の際、これまでのキャリアで築いたFWとしての秘訣を鳥栖の下部組織の選手に教えたいと話していたそうですし、どんどんいい部分を吸収していってほしい。その積み重ねがJリーグ、そして代表のレベルを上げていく一歩となるはずです。
(構成:茂野聡士)