福西崇史の「考えるサッカー」BACK NUMBER
福西崇史のロシアW杯ベスト11。
「クルトワは存在が反則(笑)」
text by
福西崇史Takashi Fukunishi
photograph byGetty Images
posted2018/07/18 17:30
アザール、カンテ&ポグバ……福西氏が強く推した面々は納得のメンバーだ。
モドリッチの冷静な戦術眼はさすが。
フランスに負けたクロアチアですが、MVPに輝いたモドリッチは皆さんも心を打たれたんじゃないでしょうか。運動量、そして技術と戦術眼。中盤に必要な能力すべてをとても高い次元で発揮しました。
特に冷静な戦術眼はさすがでした。クロアチアの攻撃はサイドアタックに迫力がありましたが、モドリッチは中央で相手を揺さぶってから展開していた。そういったモドリッチの細かな工夫があったからこそ、クロアチアは常に良いリズムを保てていたし、延長戦続きでも戦えたんでしょう。
アザール、ルカク、そしてムバッペ。
そして3トップ。左にアザール、右にはムバッペ、中央はルカクという並びです。
アザールは局面を変えるドリブルを成功させ続け、ルカクはフィジカルを生かしたパワーとスピードでそれぞれ攻撃の起点となりました。
なおかつ彼らが凄いのは、それだけの能力がありながら独りよがりなプレーに陥らないこと。例えば自分より体勢、ポジショニングがいい味方がいればシンプルにパスを選択するなど、チームプレーに徹する。ベルギーが高速カウンターを何度も繰り出せたのは、その共通意識があってこそです。
ムバッペはアルゼンチン戦を現地で見たので、選ばないわけにはいかない(笑)。圧倒的なスピードにも驚かされましたが、ムバッペに才能を感じたのは「マーカーの重心の逆をつく」センスです。
メッシやロナウド、ネイマールにも共通する能力ですが、このセンスがあるからこそ、ドリブルでいとも簡単にマーカーを置き去りにしてしまう。“ただの速い選手”ではない、次世代のスーパースターの可能性を感じます。