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オジュウチョウサンで圧勝の武豊。
マテラスカイでも衝撃レコード。
text by
平松さとしSatoshi Hiramatsu
photograph byPhotostud
posted2018/07/13 16:30
マテラスカイをプロキオンS優勝に導いた武豊騎手(右)と管理する森秀行調教師(左)。
アグネスワールドで築いた信頼関係。
同馬を管理していたのが森で、当時、手綱をとったのが武豊。
さらに、このコンビは、翌'99年にはアグネスワールドでフランスのアベイユドロンシャン賞(GI)を、さらに続く2000年にはイギリスのジュライC(GI)を制するなど、日本馬の海外挑戦に於ける先駆者と言える存在だった。
「森先生とは、普段から一緒に食事をしたりお酒を飲んだりする仲でした。そういう時はあまり競馬の話はしないけど、いざ海外遠征となったら、調教メニューからどの手綱を使うかといった細かい事まで、綿密に打ち合わせをしました。凄く思慮深い先生です」
シーキングザパールにしてもアグネスワールドにしても、フランスのGIに挑戦するにも関わらず、まずイギリスへ飛んだ。イギリスの競馬の聖地と呼ばれ、坂路など調教施設も充実しているニューマーケットへ入れて調教を重ね、フランスにはレースの時だけ渡った。
「そんな発想はなかなか思いつかないし、思いついたところで実際に行動するには勇気が必要ですよね」
天才騎手をもってしても、そう感服していたものだ。
1400mでも驚異的なレコード勝利。
話をマテラスカイに戻すと、同馬はこれまで1200m戦をスピードで圧倒して勝ち上がってきた。
今回のプロキオンSは1ハロン延びて1400m。レース前は、武豊も「距離延長がカギになる」と語っていた。
しかし、ゲートが開くと、鞍上に距離におびえる素振りは微塵も感じられなかった。距離をもたせるために抑えるような真似はせず、来るなら来いという感じで後続を引っ張って逃げると、直線は独走。
終わってみれば2着に4馬身の差をつけ1分20秒3という驚異的なレコードで圧勝してみせた。
土曜日のオジュウチョウサン、そして日曜日のマテラスカイ。タイプの全く異なる2頭で、いずれも“さすが”という手綱捌きを披露した武豊。それぞれのコンビでの今後の活躍が楽しみだ。