ワインとシエスタとフットボールとBACK NUMBER
トルシエが語るポーランド戦展望。
「川島を外すメリットを感じない」
text by
田村修一Shuichi Tamura
photograph byAsami Enomoto/JMPA
posted2018/06/27 11:30
2試合連続で失点に直結してしまった川島永嗣だが、ポーランド戦でその経験値を発揮するはずとトルシエは語る。
先制点で指摘した、もう1つのミス。
――サディオ・マネは、前半は左サイドでプレーしましたが後半はより中央にポジションを取りました。それは酒井のマークが厳しかったからでしょうか、それともリズムを変えたかったからでしょうか?
「思うようにボールに触れられなかったからポジションを変えた。ただ、マネ自身に関していえば決して悪い試合ではなかった。チームメイトたちが彼に表現する機会を与えられなかっただけだ」
――それでは試合の鍵となったのは?
「それは野心であり自信であり、ひとつになろうとする意志だった。それが鍵であり力だった。日本はしっかりとサッカーをプレーした。それこそが日本サッカーが体現した勝利だ」
――選手についても少しお話を聞きたいのですが。この2試合で、乾の果たした役割はとても大きかったと思いますが。
「彼は本当に素晴らしかった。そのスピードとドリブルで、日本の攻撃の大きなアクセントになっていた。柴崎もまた素晴らしかったし、長谷部、大迫、香川……。日本は選手全員が試合中に進化を遂げた。
ただ、先制点については原口がミスしたと思う。コーナーに避けるべきだった。川島が小さなミスを犯したのも確かで、その点に関しては弁解の余地はない」
――初戦も含め川島は安定感を欠いているとは思いませんか?
「そうだが代えることは出来ない。何故なら彼には経験があるし、日本はこの2試合を負けてはいないからだ。彼が2回ミスを犯したのは確かだが、今日に関してはパンチングは間違っていなかった。キャッチするよりもはじき返すべきだった。
コロンビアの1点目も壁の下を通り抜けた。ジャンプした壁の下だ。だから彼ひとりの責任であるとは言えない。セネガル戦のミスについても、彼だけが責められるべきものではない。
しかもそのミスが結果に影響を与えたわけではなかった。何故ならセネガルのGKも、日本の2点目に関してミスを犯したからだ。つまりどちらもサッカーの一部と言えるわけで、川島を外すメリットが私には感じられない。彼はその経験と実績で、チームに安定感をもたらすことができるからだ。このレベルの大会では、しばしば経験がモノを言う」