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トルシエが語るポーランド戦展望。
「川島を外すメリットを感じない」
posted2018/06/27 11:30
text by
田村修一Shuichi Tamura
photograph by
Asami Enomoto/JMPA
「とても驚いた」というのが、フィリップ・トルシエの第一声だった。
日本対セネガル戦の直後、監督記者会見の後に電話をしたときのことである。
彼の驚きは、恐らく試合を見ていたほとんどの人たちの驚きでもあっただろう。結果こそ2対2の引き分けだったが、それほどまでにこの試合の日本は素晴らしかったからだ。
それではトルシエは、セネガル戦に何を見たのか。忌憚なき言葉でトルシエが語った。
哲学に基づいたプレーを実践した。
――どうして「驚いた」のですか?
「コロンビア戦もセネガル戦も、日本は相手よりも劣っていると見られていた。だがこの2試合を見る限り結果は妥当だ。今日、日本が勝っていても私には驚きではなかった。チャンスは日本の方が多かった。
セネガルが頼りにしたのは彼らの長所で、とりわけカウンターアタックには威力がある。日本はそんなセネガルに対し自分たちの哲学に基づいた自分たちのプレーを実践した。そして幾度もチャンスを作った。先制点を喫した後も、まったく臆することなく、同じ意志の強さを示し続けた。
選手たちが才能に溢れていることを日本は見せつけた。それはすでに分かっていたことだが、アジアではなかなか示す機会がなく、いつも4年ごとにワールドカップまで待たねばならないものだった。才能が発揮される舞台はワールドカップしかなかった。
だからこそ驚きだった。4年ごとにしか機会がなく、アジアでの戦いに普段は専念しなければならない。だが日本は、4年ごとに着実に進歩していることをここに示した。その点を私は評価したい。
今やすべてが可能だ。もちろんまだ何も勝ち取ったわけではない。しかし日本は運命の鍵を自らの手に握っている。必要なのは勝ち点1だ。そして今日の自信に溢れた日本を見る限り、グループリーグ突破の希望は大いにあるといえる」