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栄光を取り戻せないマクラーレン。
ホンダとの離別は必然の帰結だった。

posted2018/06/17 09:00

 
栄光を取り戻せないマクラーレン。ホンダとの離別は必然の帰結だった。<Number Web> photograph by AFLO

カナダGPがF1通算300戦となったアロンソだが、記念のレースはPUトラブルでリタイアすることになった。

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尾張正博

尾張正博Masahiro Owari

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 F1の世界で長年、問われ続けてきた疑問がある。

 それは「F1マシンにおける全体的なパフォーマンスにおいて、車体とエンジン(パワーユニット)、そしてドライバーが担う割合はどれくらいなのか?」というものだ。

 各チームがそれぞれオリジナルの車体を製作し、チームによって異なるエンジンを搭載して戦うF1では、勝敗を左右する要素として車体、エンジン、ドライバーの3つが挙げられ、その割合がそれぞれどれくらいあるのかが、常に問われてきた。

 2年前、当時フェラーリのテクニカルディレクターを務めていたジェイムズ・アリソンは、現代F1での全体的なパフォーマンスについて、次のような見解を示していた。

「現在の状況では車体とパワーユニットがそれぞれ40%ずつで、ドライバーの力量は残りの20%にすぎないと思っている」

 F1のエンジンがパワーユニット(PU)と呼ばれるようになり、メーカー間の性能差が大きく開いたため、かつてはそれほどパフォーマンスに大きな影響を与えていなかったPUの割合が、ドライバーの力量よりも大きくなったことを表すコメントだった。

個々の性能を足し算しても意味はない。

 だが、あるF1チームのエンジニアは、「この割合を数値化することはできないし、意味もない」と言い、こう続けた。

「例えば、現在最強と言われているのはメルセデスのパワーユニットだが、それを搭載するチームの中で勝っているのはワークスのメルセデスだけ。(メルセデスPUを使用する)ウイリアムズもフォース・インディアも、この5年間一度も勝っていないじゃないか。エンジンもパワーユニットも車体に搭載されて初めて性能を発揮する。だから、個々の性能を足し算することはできないし、意味はない」

 かつてホンダが16戦15勝というF1史上最高勝率を記録した1988年も、ホンダは15勝を挙げたマクラーレンとともに、ロータスにもエンジンを供給していた。

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