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栄光を取り戻せないマクラーレン。
ホンダとの離別は必然の帰結だった。
text by
尾張正博Masahiro Owari
photograph byAFLO
posted2018/06/17 09:00
カナダGPがF1通算300戦となったアロンソだが、記念のレースはPUトラブルでリタイアすることになった。
ホンダ搭載時よりパフォーマンス低下?
だが、ロータスは1勝もできなかっただけでなく、コンストラクターズ選手権で2位のフェラーリと、フォード・エンジンを搭載する3位のベネトンの後塵を拝した。これもまた、個々の性能の足し算ができないことを表す結果だった。
今年のカナダGPも、そのことをよく表すグランプリとなった。昨年までホンダのPUを搭載し、今年はルノーに切り替えたマクラーレンが、今回もストレートスピードに苦しみ、低迷したのだ。
F1マシンの性能が最もよく現れるのが予選でのパフォーマンスだと言われている。長丁場のレースとは違ってタイヤを労わることなく、ドライバーが思い切ったアタックを行うからだ。
その予選で今年のマクラーレンはフェルナンド・アロンソが14位、チームメートのストフェル・バンドーンも15位に終わった。昨年、ホンダを搭載していたときの予選順位が12位(アロンソ)と16位(バンドーン)だったから、それよりもパフォーマンスは低下していたこととなる。
「車体は最強」と喧伝していたが。
もちろん、今年になってホンダがルノーを上回る性能になったわけではない。カナダGPではホンダもルノーも新しいスペックのPUを投入してきた。しかし、関係者の証言によれば、その差は縮まったものの、依然としてホンダは4社あるPUマニュファクチャラーの中で最後方にいるという。
にもかかわらず、これまで度々「自分たちの車体はグリッドの中で最強」と喧伝してきたマクラーレンは、今年に入っても同じルノーPUを搭載するルノーとレッドブルよりも遅く、カナダGPのように、ホンダPUを搭載していた昨年よりも遅いこともある。
それは、彼らの主張が誤りだったことを白日の下に晒す結果となった。